三谷昇

三谷 昇

三谷 昇（みたに のぼる）は、1932年4月9日、広島県福山市に生まれ、2023年1月15日に逝去した日本の俳優・声優・芸術家です。彼は演劇の世界で多彩な役を演じ、その存在感とユニークな演技スタイルで広く知られています。本名も三谷昇で、長いキャリアの中で多くの話題作に出演しました。

初期の歩み

高校時代から演劇に興味を持ち始め、1951年に福山葦陽高等学校を卒業。東京藝術大学に美術を学ぶために進学を試みたものの失敗し、郷里を離れるのが嫌で文学座に入団しました。その後4年間の裏方としての経験を経て、役者として新たなスタートを切りました。絵が得意だった彼は、演技活動をしつつも絵画への情熱を持ち続け、後には舞台用の「道化石」を描くなど、独自のアートを追求しました。

29歳の時、予期しない自動車事故によって片目を失明するという不幸に見舞われましたが、これが更なる演技の深化につながることになります。

劇団への参加

1963年、三谷は文学座を退団し、新たに設立された劇団雲に参加。1970年には、黒澤明監督の映画『どですかでん』で重要な役を演じ、以降映画やテレビドラマへの出演依頼が増加。1975年には演劇集団 円を結成し、数多くの名作に出演しました。特に別役実や蜷川幸雄演出の作品において、彼の演技は高く評価されました。

幅広い役柄

彼は、気の弱い男性や詐欺師、道化師をはじめ、特異な風貌を活かして時には悪役や妖婆役にも挑戦しました。特に、1970年代には子どもたちに自分の役を伝えることができる役に嬉しさを感じていたと語っています。日活ロマンポルノ出演も多く、様々な役に挑戦する姿勢は、多くのファンの支持を得る要因となりました。また、2004年には名画座で特集上映が行われ、彼の多彩さが再評価されました。

努力と受賞歴

2008年に演劇集団 円を退団後も活発に舞台活動を続け、2015年には第50回紀伊國屋演劇賞の男優賞を受賞。これまでの功績が高く評価されました。

引退と死去

2023年1月15日、90歳で慢性心不全のために亡くなるまで、演技に対する情熱を持ち続けていました。彼の死は多くのファンや仲間たちに悲しみをもたらしましたが、彼の演じた数々の作品は永遠に記憶されることでしょう。

主要な出演作品

テレビドラマ

• - 『源義経』
• - 『徳川家康』
• - 『ウルトラマンタロウ』
• - 『太陽にほえろ!』
• - 『金田一少年の事件簿』

映画

• - 『どですかでん』
• - 『犬神家の一族』
• - 『黒い雨』
• - 『トラック野郎・熱風5000キロ』

舞台

• - 『榎本武揚』
• - 『オイディプス王』
• - 『エンドゲーム』

彼の多彩な才能と情熱は、日本の演劇とスモールスクリーンの歴史に深く刻まれています。

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