漢口空襲 (1939年10月)

漢口空襲の概要と経過

1939年10月に発生した漢口空襲は、日中戦争の激化の中で中華民国とソビエト連邦の連合航空隊が行った重要な航空攻撃である。中ソ連合航空隊は、占領された漢口（現・武漢市一部）に対し、2回の奇襲を行い、日本軍に大きな損害を与えた。この空襲は、日中戦争が始まって以来、日本軍が受けた最大の被害をもたらした。

背景

日中戦争は1937年に始まり、日本軍は初期の段階で優位に戦闘を展開していた。1937年12月、南京を占領し、翌年の10月には漢口をも占領した。しかし、中国側は降伏を拒み、四川省重慶に政府を移し、抵抗を続けた。日本側は、漢口占領後次第に航空隊の規模を縮小させていったが、重慶への本格的な爆撃を始めることが決定され、再び軍の強化が進んだ。

この時期に、第二連合航空隊や海軍航空隊など、多くの航空部隊が漢口に展開され、200機以上の飛行機が配備されていた。一方、中華民国側は、漢口の陥落後、四川省へと撤退していたが、反撃の機会を狙って体制を整えつつあった。

戦闘経過

10月3日の空襲

この日の午後2時20分ごろ、ソ連空軍志願隊のSB爆撃機数機が漢口飛行場に進入し、高度7000メートルから小型爆弾を投下した。爆弾の大部分は狙いが外れたものの、飛行場の仮設指揮所付近にいくつか着弾し、爆発が起こった。その際、日本軍の幹部が集まっており、士官たちが重傷を負うなどの被害が出た。この日は日本軍には航空機の損害はなかったものの、仮設の指揮所や兵器庫が焼失した。

また、日本軍は急遽追撃を行ったものの、敵機を捕捉することはできなかった。報復として、いくつかの空襲を試みたが、逆に損害を増す結果となってしまった。

10月14日の空襲

11日後の10月14日、ソ連空軍志願隊が再び漢口に攻撃を仕掛けた。午後2時、20機のSB爆撃機が高高度から飛来し、高度8000メートルから一斉に爆弾を投下した。爆弾は整列状態にあった日本機に次々と命中し、多くの航空機が炎上した。この攻撃により、日本軍は航空機約50機を損失し、その中には重要な幹部も含まれていた。

攻撃後、日本側では戦闘機が緊急発進したが、敵機に気付くことなく攻撃を受け続け、最終的には幾つかの敵機を撃墜したものの、自軍の被害も上回る結果となった。

結果

漢口空襲の結果、日本軍はこれまでに経験したことのない大きな損失を被った。この戦闘を受けて、戦力を強化するため、さらなる反撃体制の整備が進められた。中ソ連合航空隊は、四川省から華南地域へ部隊を移動させ、新たな攻勢を練る動きが見られた。

漢口空襲は日中戦争の中でも重要な出来事となり、両軍の航空戦力の実力を示す一因となった。この空襲は日本側にとって衝撃的な出来事であり、その後の戦略にも大きく影響を与えたのである。

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