潜水艦救難艦

潜水艦救難艦について

潜水艦救難艦とは、海中で麻痺した潜水艦の乗員を救出することを主な目的とした艦船であり、一般的な艦種記号はASR（Auxiliary Submarine Rescue Vessel）です。この艦船は、潜水艦が事故や故障により浮上できずにいる状況で、迅速かつ安全に乗員を救助するための特別な装備を整えています。特に、深海での作業が求められるため、深海救難艇（DSRV）や遠隔操作の潜水艇（ROV）などを搭載することもあります。また、潜水艦救難艦には、補給支援機能を備えたものもあり、これを潜水艦救難母艦と呼びます。これにより、浮上した潜水艦に必要な燃料や物資を提供し、乗員に休養を与えることも可能です。

救難方式の概要

潜水艦救難艦が行う救助作業には、いくつかの方法があります。特に、初期の潜水艦は設計がシンプルであったため、艦体ごと引き上げる方法が主流でした。この方法には主に二つの技術があります。

1. 釣瓶方式: 左右の艦のどちらかに旧式潜水艦を利用し、その艦を沈めることで反対側にくくられた潜水艦を浮上させるスタイルです。
2. 直接動力方式: バラストを用いず、救難艦自身の動力のみで潜水艦を引き上げます。

しかし、第二次世界大戦以降、潜水艦のサイズが大きく、潜航深度もより深くなるにつれて、艦体を急に浮上させる方法は難しくなりました。その結果、レスキュー・チェンバーや深海救難艇を用い、まず乗員を救助する方式が主流となりました。

代表的な潜水艦救難艦

潜水艦救難艦は、各国で様々な艦が運用されています。以下に、日本とアメリカを例に見ていきましょう。

日本海軍の潜水艦救難艦

• - 朝日艦: 1923年から1937年まで運用。
• - 海上自衛隊の艦: ちはや、ふしみ、ちよだなどがありました。これらは現在退役していますが、二代目のちはややちよだが現役です。

アメリカ海軍の艦

アメリカ海軍には、多数の潜水艦救難艦が存在します。

• - ウィジョン（ASR-1）から、ピジョン（ASR-12）まで、多様な艦が存在します。

救難事例の一部

過去には数々の潜水艦が事故にあい、救難活動が行われました。

• - 第六潜水艇: 訓練中に沈没し、艇体の浮上には成功したものの乗員全員が死亡しました。
• - スコーラス: 1939年の沈没事故では、アメリカ海軍の救難艦が33名の乗組員を救出することに成功しました。
• - クルスク: 2000年に起こった事故では、乗員全員が救出できないという痛ましい結果となっています。

関連項目

潜水艦救難艦の活動には、関連する項目として「深海救難艇」や「大気圧潜水服」、「捜索救難」などがあります。また、イギリス海軍の潜水艦空挺支援部隊など、国ごとに特化した救助組織も存在しています。

潜水艦救難艦は、乗員の生命を守るために欠かせない重要な艦船であり、今後もその技術や体制の向上が求められることでしょう。

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