潮汕鉄道

潮汕鉄道の概要

潮汕鉄道（ちょうせんてつどう）は、広東省に位置する汕頭と潮州の間を結んだ全長約42.1kmの鉄道です。1906年11月16日に開業しましたが、1939年には日本軍の爆撃によって破壊され、その後撤去されました。

鉄道建設の背景

日清戦争後の1895年、日本は中国大陸への商工業進出を目指し、鉄道建設を通じて影響力を拡大する計画を立てました。特に、日本はイギリスとの競合を避けながら、福建省から広東省へと鉄道を伸ばすことを検討しました。1899年、外務省は日本の鉄道技師を中国に派遣するよう指示しました。これにより、浙江省杭州から広東省広州府へと至る「東南海岸幹線」が計画され、その中で汕頭と潮州間の鉄道が特に注目されました。

建設の準備と資金調達

1901年、汕頭から潮州間の鉄道建設計画が立てられましたが、資金不足から実現には至りませんでした。しかし、1903年には華僑が清朝政府の認可を受け、敷設権を取得しました。このリーダーは広東省梅県出身の張煜南であり、彼は豊富な資本を募り「潮汕鉄道公司」を設立しました。さらに、台湾出身の呉理卿との資金調整が行われ、最終的に200万元が集まりました。

日本の関与と建設契約

潮汕鉄道の情報が漏れた後、日本の愛久澤直哉がこの計画に関与し、資金を提供することにより、建設を請け負うことになりました。1903年12月に契約が結ばれ、台湾総督府からの支援を受けつつ、建設が進められました。愛久澤は、台湾総督府の経済顧問でもあり、鉄道の建設を自国の利権として重視していました。

鉄道の建設と運営

実際の建設は1904年から始まり、1906年には工事が完了しました。この鉄道は日本にとって中国大陸における初期の鉄道建設の成功事例であり、清王朝末期における初の自主的な鉄道建設としての意義がありました。日本側は契約に基づき、三五公司によって運営が行われました。

鉄道の歴史的意義

潮汕鉄道は、台湾総督府の経済進出の一部であり、福建省で展開されていた樟脳専売事業と並ぶ重要なプロジェクトでした。日本の技術力と中国大陸での資本形成の成功を示すものであり、未来の鉄道網発展の礎となったのです。

鉄道の廃止とその後

潮汕鉄道は1939年に日本軍の攻撃によって破壊され、広東省の保安処の命令により撤去されることとなりました。この経緯は、当時の戦争の影響を如実に示しており、鉄道が地域間の交流に貢献していたことを考えると、その消失は大きな痛手となりました。

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