澄一道亮

澄一道亮（ちょういつ どうりょう）

澄一道亮（1608年 - 1691年）は、明末清初に日本へ渡来した中国の僧侶であり、医術にも通じていました。浙江省杭州府銭塘県（現在の浙江省杭州市）の出身です。

生涯

若い頃に出家し、仏門に入りました。その後、1653年（承応2年）6月に日本へ渡来し、長崎の興福寺に入りました。興福寺では、当時の住持であった逸然性融（いつねん しょうゆう）に師事しました。

澄一は、僧侶としてだけでなく、医術にも長けており、その知識と技術は多くの人々に影響を与えました。彼の元からは、石原鼎庵（いしはら ていあん）、上野玄貞（うえの げんてい）、今井弘済（いまい こうさい）といった優れた医者が育っています。これらの人々は、後の日本の医学界に貢献しました。

1656年（明暦2年）には、師である逸然性融の隠退に伴い、澄一が興福寺の住持の座を継承しました。住持として、寺の運営や維持に尽力し、多くの信徒からの信頼を得ました。

1663年（寛文3年）には、長崎市中で大火が発生し、興福寺もその被害を受け、堂塔伽藍の大部分が焼失するという災難に見舞われました。しかし、澄一は落胆することなく、復興に向けて尽力しました。その結果、1667年（寛文7年）には、重要な建物である大雄宝殿（だいおうほでん）の再建を成し遂げました。この再建は、澄一のリーダーシップと信徒たちの協力によって実現したものであり、彼の功績として特筆されます。

1686年（貞享3年）には、後進に道を譲るため、悦峯道章（えっぽう どうしょう）に住持の座を譲り、自身は塔頭（たっちゅう）である永福庵（えいふくあん）に隠退しました。隠退後も、仏道に励み、静かに余生を送りました。

1691年4月に、84歳でその生涯を閉じました。澄一道亮の死は、多くの人々に惜しまれました。

澄一道亮は、異国である日本において、仏教の普及に貢献するだけでなく、医術の知識を広め、多くの人材を育成しました。彼の功績は、日中文化交流史においても重要な位置を占めています。

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