澎湖海戦

澎湖海戦

澎湖海戦は、1683年に台湾の鄭氏政権と中国本土の清朝の間で行われた海戦です。この戦いは、鄭氏政権の命運を左右し、清朝による台湾支配を決定づける重要な出来事となりました。

戦いの背景

17世紀後半、明朝を滅ぼした清朝は、その勢力を拡大していました。一方、明朝の遺臣である鄭成功が築いた鄭氏政権は、台湾を拠点に清朝に対抗していました。1683年までに清の康熙帝は鄭氏との交渉を打ち切り、武力による制圧を決意します。清朝は、施琅将軍を指揮官とし、1万人以上の兵士と600隻の軍艦を派遣しました。当初、施琅は澎湖島への攻撃を試みましたが、鄭氏側の劉国軒将軍の抵抗により撃退されました。しかし、台風が過ぎ去ると、施琅は軍を再編し、再び澎湖島への攻撃準備を整えました。康熙帝は施琅に早期の攻撃を命じ、1683年6月（太陽暦の7月）に澎湖海戦が勃発しました。

戦闘の経過

施琅は、自軍を複数の小艦隊に分け、そのほとんどを劉国軒率いる澎湖防衛艦隊に向けました。同時に、別動隊を派遣して劉国軒の基地がある島への直接上陸を試みました。劉国軒は、これに対応するため、弓部隊と大砲を配備して清軍の侵攻を阻止しようとしました。しかし、施琅はオランダから購入した大砲で艦船を武装強化しており、清軍の火力は鄭氏軍を凌駕していました。

戦闘が開始されると、清軍は劉国軒軍に突入し、その隊形を崩壊させました。鄭氏軍も勇敢に戦いましたが、清軍の圧倒的な火力と数に押され、1時間足らずでほとんどの艦船が沈没しました。残った艦船も戦闘を継続しましたが、やがて弾薬が尽き、白兵戦に移行しました。劉国軒の旗艦も弾薬を使い果たし、台湾へ逃れざるを得なくなりました。残りの艦船は降伏し、一部は3日間燃え続けたとされています。多くの将兵は降伏を拒否し、入水自殺を選んだ者もいました。

陸戦

海戦と並行して、約6万の清軍兵士が上陸を開始しました。鄭氏軍は、大砲や弓で抵抗しましたが、清軍の圧倒的な兵力の前に防衛線を突破されてしまいます。清軍は、優れた将軍たちの指揮の下、劉国軒の陣地を攻撃し、占拠しました。そして、最も高い場所に清の旗を掲げました。

戦後の影響

劉国軒は降伏後、自殺を図りましたが、施琅に止められました。二人は戦闘について短い会話を交わし、劉国軒は釈放されました。澎湖島の陥落は、鄭氏政権にとって抵抗の余地がないことを意味しました。数日後、鄭氏政権最後の王である鄭克塽とその廷臣たちは、清の皇帝に正式に降伏し、ここに鄭氏政権は終焉を迎えました。澎湖海戦は、清朝による台湾支配を決定づけた重要な戦いとして、歴史に刻まれています。

この海戦は、兵力差、装備の差が戦局を大きく左右することを如実に示しています。また、降伏を拒否し、自らの信念を貫いた将兵たちの行動は、後世に大きな影響を与えました。澎湖海戦は、単なる海戦の枠を超え、歴史の転換点となった出来事と言えるでしょう。

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