中国本土

中国本土とは

中国本土（ちゅうごくほんど、英語: China proper）は、中国における漢民族の主要な居住地を指す表現です。この地域は、清代以降に中国に組み込まれた周辺地域（外中国）とは異なる意味合いを持っています。中国本土の面積は約390万平方キロメートルで、歴史的に漢民族が主に居住した地域とされます。

名称

中国語においては、「漢地」や「漢境」、「漢疆」などという表現が使われることがあります。また、日本語では過去に「支那」や「支那本部」という言葉で呼ばれたこともあり、これらの呼称は漢民族が形成した歴史的領域の理解と関わっています。中国本土は、北方の広大な外中国の地域と、通常、万里の長城によって区切られています。清朝時代には、中央政府が設置した18の省によって管理されていたため、この時期には「内地十八省」という表現が使用されていました。

概念の起源

「中国本土」という概念が英語で使用されるようになった時期は明確ではありませんが、米国の中国専門家によると、1827年にさかのぼることができるとされています。ウィリアム・ウィンターボサムは1795年に著書でこの概念に言及しており、清朝の中国を本土と外の地域に分けて説明しています。彼の説明では、古代の「China」は秦に由来し、緯度や経度で特定の範囲に該当する地域として記述されています。ただし、ウィンターボサムは明代の15省体制に基づいて記述していることもあり、この概念が完全に定まったのはその後のことだと考えられます。

中国における認識と論争

中国本土の概念は、清代後期に中国に受容され、18個の省がこの地域を統治する形で認識されるようになりました。清末から中華民国初期にかけて、革命派や共産党の人々により「中國本部」という用語も使われるようになりました。しかし、時が経つにつれ、特に「中華民族」という概念が広まるにつれて、この用語はあまり用いられなくなりました。文化的な議論において、「中國本部」が持つ意味や重要性は、しばしば論争の的となります。

範囲

中国本土の範囲には確定した境界線は存在せず、さまざまな観点からの解釈があります。歴史的には、漢民族によって築かれた王朝や、中国文明の発祥となる地域などが重要な指標とされています。代表的な古代王朝である漢や唐は周辺民族を同化し、時に征服を通じて勢力を拡大しました。

清が築いた十八省は現代でも存在しますが、その境界には大きな変更が加えられています。例えば、北京市と天津市は河北[[省]]から分離し、上海市は江蘇[[省]]から、さらに他の地域も様々な経緯を経て改編されています。初めて省制度が設けられたのは清末の時期であり、これ以降、これらの地域は中国本土の定義に影響を与え続けました。

民族的観点

中国本土は漢民族との関連が重視されることが多いですが、漢民族の分布は必ずしも清代の十八省の領域と一致しているわけではありません。例えば、雲南省や広西チワン族自治区などでは、漢民族以外の民族が多くを占めるようになっています。一方で、満洲や内モンゴル、新疆やチベットでは、多数派としての漢民族が定着しています。

台湾においても、公式には98%が漢民族とされていますが、多くの人々が原住民の歴史的背景を持っています。つまり、台湾を中国本土の一部と考えるかどうかは、未だに多くの議論が存在する主題です。中国本土という概念は、そこに暮らす人々の歴史、文化、政治的な背景に深く根ざしており、今後もその定義や認識は変化していくことでしょう。

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