澤瀉久敬

澤瀉 久敬について

澤瀉久敬（おもだか ひさゆき）は、大阪大学名誉教授として知られる日本のフランス哲学者で、1904年8月7日に三重県伊勢市で生まれました。彼の兄、澤瀉久孝も国文学者として名を馳せています。澤瀉は、1929年に京都帝国大学文学部の哲学科を卒業し、九鬼周造の下で学びました。その後、彼はフランス政府の招聘により1935年に渡仏し、フランス哲学を深く学びました。

学歴と職歴

澤瀉の学問的なキャリアは、京都帝国大学での講師としての任期から始まり、1941年に大阪帝国大学の講師に就任。その後、1954年には大阪大学の文学部教授に昇進しました。1960年には医学の分野でも業績を上げ、大阪大学から医学博士の学位を授与されました。1968年に定年退官し、その後は名誉教授の地位を得て、南山大学でも教壇に立ちました。1986年には日本学士院の会員にも選出されました。

学問の特色

澤瀉は、ベルクソンの思想を基に、哲学と医学の接点を探求し、独自の研究領域を確立しました。彼の著作は、結果的に哲学的思考が医学分野にも寄与できることを示しています。特に、彼の著書『「自分で考える」ということ』は広く読まれ、長い間愛されてきたロングセラーとなっています。

主な著作

澤瀉の著作は多岐にわたり、彼の多様な興味と深い思索を反映しています。代表的な著書には以下のものがあります：

• - 『メーヌ・ド・ビラン』（1936年、弘文堂）
• - 『医学概論 第1部』（1945年、創元社）
• - 『仏蘭西哲学研究』（1947年、創元社）
• - 『哲学と科学 十三のコーズリ』（1957年、宝文館）
• - 『「自分で考える」ということ』（1961年、文藝春秋新社）

彼の著作は、哲学的なテーマから医学、倫理と多岐にわたります。特に『医学概論』シリーズは、医学と哲学の関係を探求し、専門分野における重要な参考文献となっています。

編集・編著

また、彼は数冊の編著も手がけ、特に『ベルグソン研究』（1961年、共編）や『現代フランス哲学』（1968年、雄渾社）など、フランス哲学の紹介にも尽力しました。これらの業績は、当時の日本におけるフランス哲学の理解を深めることに寄与しました。

■ 結論
澤瀉久敬は、日本におけるフランス哲学の第一人者であり、哲学と医学を結びつけることにより新たな学問の地平を切り拓いた人物です。彼の思想と著作は、今でも多くの人々に影響を与え続けています。

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