瀬川伸

瀬川伸 (せがわ しん) に関する詳細

瀬川伸（せがわ しん）は、1916年10月24日、北海道函館市に生まれ、2004年3月14日に死去した日本の歌手です。彼の中国語名は施延雄で、娘の瀬川瑛子も著名な歌手として活躍しています。

生い立ちと音楽活動の初期

彼は北海道函館市の蓬莱町、現在の宝来町で生まれました。支那料理店「蘭亭」の次男として育ち、商業学校を卒業した後、参加した商業まつりの素人コンクールで優勝を果たします。これがきっかけとなり、流行歌手を目指す決意をし、上京して江口夜詩の門下に入門。しかし、弟子入りの道のりは困難で、著名な作曲家の元へ向かう際には新巻鮭を手土産として持参したものの、鮭が悪くなってしまうほどの苦労をしたと言われています。

江口夜詩はその後、瀬川をコロムビアレコードに推薦し、松竹映画「春雷」の主題歌「街の姫百合」でレコードデビュー。彼のデビューは当時のレコード業界において異例の待遇を受けていました。その後も「海南島の月」や「蒙古の夜風」といった楽曲をリリースしましたが、当時は女性歌手の曲がヒットする傾向にあり、昭和15年を境に活躍は縮小していきました。

戦後の復活と成功

戦後、瀬川伸は恩師である江口夜詩がキングレコードに移籍した際、彼の専属となりましたが、ヒットには恵まれませんでした。しかし1951年に発表した映画「上州鴉」の主題歌が大ヒットし、彼にとっての初めての成功となります。その後も「天龍鴉」や「甲州鴉」など数多くの楽曲を発表し、特に股旅歌謡やマドロス物と呼ばれる楽曲は高い人気を誇りました。彼の人気は紅白歌合戦への出場でも確認されました。

家族との絆と音楽への情熱

瀬川は家庭を持ち、特に長年ファンであった女性と結婚しています。商業的な活動に加え、品川の大井町で焼肉屋を経営するなど、堅実な側面も持ち合わせていました。また、彼は自身の後継者を育てることに懸けており、娘たちを歌手として育てるためにレッスンを行っていました。しかし最終的には次女の瑛子のみが父の影響を受けて歌手となり、彼女は小学生の頃から父の舞台に前座として起用されていました。

瑛子はやがて「長崎の夜はむらさき」でヒットし、「命くれない」という曲でさらに成功を収めます。これにより、親子二代での紅白歌合戦出場が話題となりました。1991年にはテレビ東京の番組に特別出演し、引退した父に代わって「上州鴉」を歌い、往年のファンを喜ばせました。

最期と音楽の残した足跡

瀬川伸は2004年2月に妻を亡くし、そのわずか2週間後に心不全のためにこの世を去ることになります。彼の楽曲は多くがCD化されておらず、彼の代表的な楽曲「上州鴉」もコンピレーションアルバムにおいてのみ存在感を示す程度です。しかし、その音楽的遺産は昭和の時代の流行歌の一つとして、多くの人々に愛され続けています。

代表的な楽曲

戦後のタイヘイ・マーキュリー時代における代表曲としては、「上州鴉」、「港神戸のマドロスさん」、「遠州鴉」、そして「甲州鴉」などがあり、これらの楽曲は彼の魅力を今に伝えています。

映画出演

主な映画出演作には1951年の松竹映画「夏祭り三度笠」があり、この中で旅の流し唄としての役割を果たしています。

NHK紅白歌合戦出場歴

彼の紅白歌合戦への出場は、彼の名声を確立した重要な出来事の一つです。

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