江口夜詩

江口夜詩（えぐち よし）

概要

江口夜詩は、1903年7月1日に岐阜県で生まれ、1978年12月8日に亡くなった日本の作曲家であり、元海軍軍人です。本名は江口源吾（えぐち げんご）。海軍軍楽隊員として活動する傍ら、数々の名曲を生み出し、昭和の歌謡界を代表する作曲家の一人として知られています。クラシック音楽から流行歌まで幅広いジャンルを手掛け、その生涯で4000曲を超える作品を残しました。

生涯

岐阜県養老郡時村（現・大垣市上石津町）出身の江口は、16歳で海軍軍楽隊に入隊。海軍委託生として東京音楽学校（現在の東京芸術大学）で音楽を学びました。当初はクラシック作曲家を目指していましたが、1932年に発表した『忘られぬ花』が松平晃の歌唱で大ヒットしたことを機に、流行歌の作曲家へと転身しました。

その後、『十九の春』、『秋の銀座』、『月月火水木金金』、『長崎のザボン売り』、『憧れのハワイ航路』、『赤いランプの終列車』、『瓢箪ブギ』など、数々のヒット曲を世に送り出しました。これらの楽曲は、昭和の時代を彩る代表的な歌謡曲として、今もなお多くの人々に愛されています。

1939年には、東京世田谷に「国民音楽院」（戦後は「日本歌謡学校」）を設立し、後進の育成にも尽力しました。門下からは、瀬川伸、真木不二夫、小畑実、津村謙、春日八郎、曽根史郎など、多くの著名な歌手が輩出されました。

江口は、生涯にわたって作曲活動を続け、その作品数は4000曲を超えるとされています。作曲家としての才能は、服部良一からも高く評価されていました。また、古賀政男とは終生のライバル関係にありました。

1963年、パーキンソン病を発症し、長期の闘病生活を送りましたが、1978年12月8日に75歳で生涯を閉じました。墓所は東京都杉並区の法照寺にあります。

出身地である上石津町（旧・時村）では、江口の地域への貢献を称え、1970年に自治功労者、1974年に名誉町民の称号が贈られました。没後には顕彰碑が建立され、1994年には江口夜詩記念館を中心とした日本昭和音楽村が開設されました。

長男の江口浩司も作曲家として活動しました。

主な作品

行進曲「千代田城を仰ぎて」（1925年）
忘られぬ花（1932年）
十九の春（1933年）
秋の銀座（1933年）
月月火水木金金（1940年）
長崎のザボン売り（1948年）
憧れのハワイ航路（1948年）
赤いランプの終列車（1952年）
瓢箪ブギ（1954年）
その他、多数

映画音楽

金環蝕（1934年）
将軍と参謀と兵（1942年）
天皇・皇后と日清戦争（1958年）
憲兵と幽霊（1958年）

校歌

江口は、多くの学校の校歌も手掛けています。

大垣市立牧田小学校
大垣市立一之瀬小学校
大垣市立時小学校
大垣市立多良小学校
大垣市立江東小学校
大垣市立宇留生小学校
大垣市立西小学校
大垣市立南小学校
世田谷区立東深沢小学校
世田谷区立駒繁小学校
世田谷区立九品仏小学校
上石津町立時山小学校
上石津町立多良中学校
上石津町立時中学校
大垣市立興文中学校
大垣市立川並中学校
海津市立養南中学校
岐阜市立本荘中学校
荒川区立第四中学校
世田谷区立深沢中学校
大田区立御園中学校
大田区立安方中学校
大田区立志茂田中学校
結城市立結城中学校
岐阜県立高田高等学校
岐阜県立養老女子商業高等学校
岐阜県立郡上北高等学校

参考文献

江口浩司 著「江口夜詩と海軍」、水交会 編『回想の日本海軍』原書房、1985年
江口直哉 著『江口夜詩～昭和歌謡の礎を築いた作曲人生～』つむぎ書房、2023年

外部リンク

水の都おおがき 水嶺湖畔 日本昭和音楽村オフィシャルウェブサイト - 大垣市
江口夜詩 - 日本映画データベース
江口夜詩 - allcinema
江口夜詩 - KINENOTE
江口夜詩 - IMDb（英語）

江口夜詩は、その多才な音楽性と、人々の心に響くメロディーで、昭和の歌謡史に大きな足跡を残しました。彼の作品は、今もなお多くの人々に愛され、歌い継がれています。

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