瀬川菊之丞

瀬川菊之丞（せがわ きくのじょう）

瀬川菊之丞は、歌舞伎における女形の大名跡であり、かつては江戸歌舞伎の女形を象徴する存在でした。現在では、劇団前進座出身の俳優が七代目を名乗っています。屋号は濱村屋、定紋は丸に結綿です。

初代 瀬川菊之丞

生没年は1693年から1749年。出身地については摂津または京都という説があります。初代瀬川吉次から初代瀬川菊之丞へと名を改めました。

二代目 瀬川菊之丞

1741年から1773年まで。初代の養子で、実父は富農の清水半六です。瀬川権次郎、二代目瀬川吉次を経て、二代目瀬川菊之丞を襲名しました。

三代目 瀬川菊之丞

1751年から1810年まで。二代目の死後、瀬川家に入りました。実父は舞踊市山流の家元、初世市山七十郎です。市山七之助（富士屋）、市山富三郎（富士屋）、瀬川富三郎を経て、三代目瀬川菊之丞、さらに三代目瀬川路考、瀬川仙女と改名しました。

贈四代目 瀬川菊之丞

1782年から1812年まで。三代目の婿養子です。実父は江戸木挽町の芝居茶屋主人、猿屋伊八といわれていましたが、実際は二代目中村十蔵と伊八の娘との間に生まれた子でした。坂東千之助、中村千之助、瀬川菊之助、瀬川路之助、四代目瀬川路考を経て、死後に贈四代目瀬川菊之丞が追贈されました。

五代目 瀬川菊之丞

1802年から1832年まで。四代目の養子で、実父は初代瀬川路三郎（後の初代嵐璃光）です。瀬川多門から五代目瀬川菊之丞を襲名しました。

六代目 瀬川菊之丞

1907年から1976年まで。四代目岩井久次郎の養子で、実父は四代目久次郎の実弟です。姻戚筋の瀬川家を再興した後、梨園を離れて劇団前進座の俳優に転じました。瀬川仙魚、二代目瀬川菊次郎を経て、六代目瀬川菊之丞を襲名しました。

七代目 瀬川菊之丞

1957年生まれ。サラリーマンから劇団前進座の俳優に転身しました。2009年に退座後、株式会社エヌ・エー・シーに所属しています。山村邦次郎（岡村屋）から七代目瀬川菊之丞を襲名しました。


この名跡は、江戸歌舞伎の女形を代表する重要なものであり、その歴史は多くの名優たちによって彩られてきました。現在もその名跡は受け継がれ、歌舞伎界において重要な役割を果たしています。

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