火の鳥 鳳凰編 (MSX)

火の鳥 鳳凰編：ファミコンで蘇る伝説

1987年、コナミより発売されたファミリーコンピュータ用ゲームソフト『火の鳥 鳳凰編』は、同時期に公開された角川映画『火の鳥 鳳凰編』とのメディアミックス作品として注目を集めました。ゲームタイトル画面とエンディングには、映画の主題歌である「火の鳥」（作詞：阿久悠、作曲：宮下富実夫、編曲：瀬尾一三）が使用されており、当時を知るゲーマーにとって懐かしい響きを奏でることでしょう。

先に断っておくと、同時期に発売されたファミリーコンピュータ用ソフト『火の鳥 鳳凰編 我王の冒険』とは、全く異なるゲームデザインとなっています。本作は、トップビューの縦スクロールシューティングゲームです。プレイヤーは主人公の我王を操作し、様々な試練を乗り越えて、失われた心の平和を取り戻すことを目指します。

ゲームシステム：試練と成長の物語

ゲームは全6ステージ構成。我王は敵の攻撃だけでなく、強制スクロールに巻き込まれて壁に挟まれることによってもゲームオーバーとなってしまいます。残機制を採用しており、残機を増やすには、ゲーム内で獲得できる「火の鳥の羽」を消費する必要があります。得点によるエクステンドは存在しません。

コンティニューは無限に可能で、ポーズ中に取得できるパスワード機能により、中断した場所からの再開も可能です。敵を倒すと、主に火の鳥の羽を落とします。集めた火の鳥の羽は、武器変更画面で強力な武器と交換できます。武器変更は、いつでも好きなタイミングで行えます。

各ステージは上下方向にループしており、何もしなければ同じルートを周回することになります。ただし、左右方向には壁の切れ目があり、3画面分をループするように移動できます。ステージは基本的に一本道ですが、この左右移動によって、変化に富んだステージ構成が実現されています。

ステージ構造：心の玉への道

各ステージには門が存在し、それらを開けるには対応した霊木を入手する必要があります。この門によって、ステージは大きく「ステージ前半」「ステージ後半」「心の玉の安置エリア」の3つのエリアに分割されています。強制スクロールの特性上、これらのエリアはいずれ合流する設計になっています。

まず、ステージ前半ではステージ後半へ進むための霊木を獲得します。ステージ後半では、ステージボスが待つ門を開ける霊木を入手します。そして、心の玉の安置エリアに入るための霊木は、ステージボスが所持しており、心の玉を入手するにはクリアしたステージを再度訪れる必要があります。最終ステージを除く5つのステージにはそれぞれ1つの心の玉が隠されており、全ての心の玉を入手しないと、最終ボスとの戦いは開始できません。

隠されたメッセージ：開発者の遊び心

AボタンとBボタンを押したままリセットを行うと、「HINOTORI ONE」というメッセージが表示されます。これは、開発者による遊び心とも取れる隠されたメッセージであり、ゲームをプレイしたプレイヤーだけが知る、ちょっとした秘密と言えるでしょう。

まとめ：時代を超えた魅力

『火の鳥 鳳凰編』は、シンプルなゲーム性の中に奥深い戦略性と、独特の世界観が融合した作品です。強制スクロールや、心の玉集め、そして火の鳥の羽を使った武器変更など、他のシューティングゲームにはない独自の要素が数多く盛り込まれており、今プレイしても新鮮な驚きと楽しさを味わえることでしょう。 映画とのコラボレーションという点も、当時のゲーム業界におけるメディアミックス戦略の先駆けと言えるでしょう。

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