火星物語

火星物語

『火星物語』は、文化放送のラジオ番組『広井王子のマルチ天国』内で放送されたリスナー参加型ラジオドラマとして、1994年4月から2000年3月まで5年間、全10シリーズが放送されました。
1998年からはメディアミックス展開が行われ、漫画『火星物語 五月の花嫁』、ゲーム『火星物語』、小説『火星物語 ロマンシア』など、様々な媒体でその世界が広がりました。

概要

1970年代から1980年代にかけての火星探査機打ち上げによる火星への関心の高まりを受け、広井王子が火星を舞台とした小説のタイトルとして『火星物語』を商標登録したのが始まりです。
小説の準備は進められたものの、一旦は忘れ去られていたこのタイトルは、1994年に『広井王子のマルチ天国』内のミニドラマ企画として、突如思い出されました。

広井王子は企画当初から、生命が宇宙規模で輪廻転生を繰り返し、火星に辿り着く可能性もあるという壮大な世界観を抱いていました。
この世界観がラジオドラマの根幹となり、冒頭で語られる「はるか遠い昔、これは人々が忘れてしまった記憶の物語」というフレーズが生まれました。
ラジオドラマでは語りきれないほどの広大な世界観を表現するため、当時から複数のメディアへの展開を構想していたと語っています。

キーワード

命名の儀: 『火星物語』の世界では、12歳以下の子供は「少年A」などの記号で呼ばれます。12歳の誕生日に「命名の儀」が行われ、名前と職業が与えられます。
風: 『火星物語』の世界における神のような存在であり、自由の象徴です。
風使い: 「風」と心を通わせることができる存在です。

ラジオドラマ

広井王子が脚本を書き、番組収録時に即興で録音するという形式で放送されました。
基本的にはリスナーからのハガキを元に脚本が書かれましたが、当初はアイデアを募集する予定はありませんでした。
即興であるため、アクシデントやアドリブも多く、台本が薄い回には、千葉繁と横山智佐がアドリブでキャラクターやエピソードを追加したり、フリートークを挟むこともありました。

ドラマのメインキャストは以下の通りです。

主人公: 横山智佐
主人公の相棒: 千葉繁
ヒロイン: 豊口めぐみ
謎多き男「ランディ」: 広井王子

他の脇役も全てこの4人が担当しました。また、ゲストが出演した回では、ゲストもドラマに参加しました。

「火星物語 ロマンシア3」までの3作は、広井・千葉・横山の劇団“マルチ天国一座”が各地を興行するという物語形式でCD化されました。
また、「火星ガールオーディション」のショーとドラマを収録した『火星物語 スペシャルコレクション'96秋』、キャラクターソングを収録した『火星物語 ソングコレクション』も発売されています。

各シリーズの概要

火星物語 ロマンシア

火星暦5200年。12歳を目前にした少年Aは、カンガリアン王国のコアラップ王女から助けを求められます。子供時代との決別のため、相棒のポチと共に旅立つことを決意します。

アンサー（声：横山智佐）: アロマ出身の少年A。両親は幼い頃に亡くなっていますが、犬族のポチをはじめ、多くの友達と楽しく暮らしています（ただし友達の多くは鉱石探知機などの機械）。名前はリスナーからの応募で、大人になることの答えを探す「アンサー」と、未来の希望である「アイル」から選ばれました。
ポチ（声：千葉繁）: アロハシャツを愛用する二足歩行の犬。自称“犬族最強の剣士”。広井が台本に「アンサーの手を引いて」と書いたことから、二足歩行の犬という設定が生まれました。アンサーを助けるために命を落とします。
コアラップ（声：横山智佐）: カンガリアン王国の王女。

火星物語 ロマンシア2

火星暦988年。クエス姫は風使いに憧れていました。父である王の死を機に王宮から追放され、風使いになるためにサスケと共に風の渓谷へ旅立ちます。風の渓谷で門の審判を受けたクエスは、別世界で白き風使いの戦士となります。

クエス（声：横山智佐）: 明朗活発な12歳の少女。クエスという名前は、前作のアンサー（Answer＝答え）に対してクエス（Question＝疑問）から来ています。
サスケ（声：千葉繁）: クエスの世話役の青年。別世界ではクエスの相棒の風使い。クエスを庇って死亡しますが、ポチの魂と出会って現世に戻ります。
リュート（声：千葉繁）: アショカの将軍で、「黒き風の将軍」の名を持ちます。

火星物語 ロマンシア3

アンサーの時代から時を経た未来、舞台は過度に機械化・ネットワーク社会化された火星。「風」は伝説にのみ残る存在となっていました。デパートの遊園地で風に遭遇したフォボスは、「風使い」として追われることになります。

フォボス（声：横山智佐）: 12歳の少年。「風」が原因で様々な組織に追われることになり、偶然出会ったタローボーと一緒にハーネスに立ち向かいます。
タローボー（声：千葉繁）: ゴミ捨て場に捨てられ、自分の使命や名前を忘れていたロボット。空から落ちてきたフォボスを「神」と信じ、フォボスに付き従います。
ランディ（声：広井王子）: 地下組織ブラック・ノアのリーダー。
フーギ（声：広井王子）: 暗黒の風を操るハーネスの魔法公爵。

その他のシリーズ

火星物語4 風のラフレシア
火星物語5
火星物語6 ノスタルジア
火星物語7 約束の大地
火星物語8 タコラス3世の華麗なる日々
火星物語9 風の歌のララ
火星物語10 仕立て屋エクレアの伝説

漫画

火星物語 五月の花嫁: 月刊ファミ通ブロスで連載された漫画作品。広井王子原作、むつきつとむ作画。

ゲーム

火星物語: 1998年にアスキーから発売されたプレイステーション用RPG。

小説

火星物語 ロマンシア: 1998年にファミ通文庫から発行されたライトノベル。広井王子著、水玉螢之丞画。

関連人物

広井王子
横山智佐
千葉繁
豊口めぐみ
水玉螢之丞

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