火星田マチ子

概要

『火星田マチ子』は、日本の漫画家・吉田戦車が手掛けたユーモラスなギャグ漫画作品です。また、その物語の中心となる主人公の名前でもあります。この作品は、遠い惑星・火星から地球へとやってきた一人の少女、火星田マチ子が「恋」とは何かを学ぶ過程と、彼女の存在が周囲の人々に引き起こす様々な騒動を描いています。

物語は、1990年代の前半頃にスコラ社の雑誌『コミックバーガー』で連載されていました。主人公のマチ子というキャラクターは、元々吉田戦車の別の作品である『戦え!軍人くん』に脇役として登場していましたが、本作で独立した作品の主役として描かれることとなりました。火星人の特異な視点と行動原理を持つマチ子が、地球の文化や常識に触れることで生まれるズレや誤解が、物語の主軸となるギャグの源泉となっています。

主要登場人物

火星田マチ子

本作の主人公である15歳の火星人の少女です。トレードマークは頭につけた赤いリボン。地球に降り立った目的は「恋」を学ぶことですが、純粋すぎる、あるいは火星的な感性から来る彼女の行動は、行く先々で予期せぬトラブルや混乱を引き起こします。歌うことが得意で、自作の歌を披露したり、日本の演歌に感銘を受けて弟子入りしたり、果てはレコード会社からデビューしたりと、多才な一面を見せます。また、人間に変身する能力を持っており、その際はスレンダーでおかっぱ頭の美しい女性の姿になります。

火星田ジュン

マチ子の父親で、40歳の火星人男性です。特徴的な口ひげと縮れた髪型をしています。娘に人間を愛する心を教えるため、マチ子を伴って火星から日本へやってきました。しかし、本人は極めて臆病で小心者であり、すぐに泣いてしまうような情けない一面があります。さらに、痴漢という倒錯的な趣味を持っており、その行動が娘のマチ子に見つかっては、しばしば制裁として殴られています。妻である英子とは現在別居状態にあります。

十郎

マチ子が飼っているペットの火星カバです。頭部はカバのようですが、火星人特有の触手のようなものが生えています。人間のように話すことはできませんが、「むふー」という独特の鳴き声を発します。性格は大人しく、意外にもらっきょうが苦手という一面があります。

亀

マチ子のペットである亀です。特別な特徴はなく、文字通り普通の亀です。

火星戸フキ子

マチ子の幼馴染であり、親友の火星人の女の子です。ショート・ボブの髪型に、赤白の縞模様が入った大きな櫛を髪に挿しています。やや陰気で内向的な性格で、地球で恋愛や友人関係を謳歌するマチ子に対して密かに嫉妬心を抱いています。しかし、根は素直な部分もあり、マチ子に意地悪をしようとして逆に喜ばれて戸惑ったり、マチ子のついた嘘にあっさり騙されてしまったりすることもあります。

増造

フキ子の父親です。会社を経営しており、かつて近所に住んでいたことから火星田親子とは顔馴染みであり、ジュンの友人でもあります。ジュンよりは年下であるようです。火星人としての特徴として、触手のうち2本の筋肉が特に発達しており、人間に変身した際も筋肉質な肉体になります。

ユカリ

マチ子の地球人の親友です。

なま彦

火星田親子の近所に住んでいる地球人の会社員男性です。連載初期、特に最初の3話において、マチ子が恋の相手として意識する人物として登場しました。

健作

マチ子のクラスメートである地球人の少年です。連載の第7話から登場し、以降はマチ子の主要なボーイフレンドのような存在となります。マチ子からの（時に行き過ぎた）一方的な好意によって多大な迷惑を被る場面が多々ありますが、物語が進むにつれて二人の間には次第に恋人らしい関係性が芽生えていきます。

握寿司守

健作君の親友であり、マチ子のクラスメートです。顔面を縦に走る「人」の字のような生傷（これは彼に限らず、「握寿司」姓のキャラクターに共通する特徴とされることもあります）が特徴的な外見をしています。野蛮な振る舞いが目立ちますが、同時に天才的な発明の才能を持つ少年でもあります。健作君を巡って、しばしばマチ子とはライバル関係のような形で対立します。

英子

マチ子の母親です。夫であるジュンと娘のマチ子を置いて家を出て行きました。頭に巻いたスカーフが外見上の特徴です。本編の連載中には回想シーンでのみ登場しましたが、単行本に収録された書き下ろし小説では、マチ子と一緒に地球を歩く姿が描かれています。

もう一度検索