火災報知機

火災報知機とは

火災報知機は、火災の発生を感知し、建物内にいる人々に警報を発したり、消防機関に通報する機器の総称です。火災による被害を最小限に抑えるために重要な役割を果たします。このシステムは、感知器による自動検知から、人の手による発信機の操作まで、多様な方法で火災を知らせる機能を有しています。

火災報知機の歴史

火災報知機の歴史は古く、19世紀にまで遡ります。

1847年: アメリカで、電信機を改良した初期の火災報知機が開発されました。
1849年: ドイツでも同様に電信機を利用した火災報知機が登場しました。
1891年: 日本では電信機が火災や犯罪の通報に利用されるようになりました。
1914年: 三好盛雄によってMM式火災報知器が開発され、特許を取得しました。
1920年: 東京の日本橋に、初めて一般の人々が利用できる公衆用火災報知機が設置されました。

火災報知機の種類

火災報知機には、用途や機能によっていくつかの種類があります。

自動火災報知設備

自動火災報知設備は、感知器によって火災の熱、煙、炎を自動的に感知し、受信機に信号を送ることで作動します。これにより、建物管理者に火災の発生場所を知らせ、ベルや非常放送設備を通じて避難を促します。火災の早期発見と迅速な避難を支援する重要な設備です。

非常警報設備

非常警報設備は、感知器を持たず、手動で発信機を操作することでベルやブザーを鳴らす設備です。自動火災報知設備が設置されている場合には、この設備の設置が免除されることがあります。ただし、放送設備については免除されない場合があります。

消防機関に通報する火災報知設備

この設備は、街頭に設置された発信機を操作することで、直接消防機関に通報する装置です。かつては、ゼンマイ仕掛けで固有のパルス信号を発信し、消防機関がその場所を特定できました。専用の通信回線が必要で、いたずらが多いなどの理由から1974年までに廃止されましたが、法規上は現在も存在します。

近年では、この技術を応用し、ひったくりや交通事故の際に自動的に警察に通報し、映像を送信する「スーパー防犯灯」が登場しています。

火災通報装置

火災通報装置は、自動火災報知設備が作動した際に、消防機関への通報を自動化する装置です。旅館や病院、老人福祉施設などで設置が義務付けられています。この装置は、自動または手動で119番に電話をかけ、録音されたメッセージを送信します。その後、消防署からの逆信に応答することで、より詳しい状況を伝えます。連動している場合は、自動で消防機関へ通知されます。

この装置は非常に便利ですが、非火災報が多発すると消防隊の出動が増えるため、設備の保守管理が重要です。また、この装置の設置が、火災通報の義務を免除するものではありません。

金融機関の自動通報装置もこの技術を応用したもので、強盗事件の際にボタン一つで110番通報を行います。

住宅用火災警報器

住宅用火災警報器は、特に就寝中の火災による死者が多いことから、設置が義務化されました。火災の早期発見を促し、住民の安全を確保します。

関連法規と業界団体

火災報知機は、日本の消防法規に基づいて設置および運用されています。関連する業界団体としては、以下のものがあります。

総務省消防庁
日本火災報知機工業会
日本消防設備安全センター

まとめ

火災報知機は、火災から人命と財産を守るために不可欠な設備です。歴史的な発展を経て、現在では様々な種類が存在し、それぞれ異なる場所や目的に適した形で利用されています。適切な設置と保守管理によって、火災による被害を最小限に抑えることが可能です。

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