火車 (小説)

火車 (かしゃ)

『火車』は著者宮部みゆきによるミステリー小説で、消費者金融の影響を受けた女性の困難な生活を描いています。また、本作はテレビドラマや映画にもなり、多様なメディアでその物語が展開されています。

概要

本作品は、借金やカード破産、さらには取り立てに苦しむ女性の人生を、彼女を追う刑事の視点から描いたものです。1992年に雑誌『小説推理』で連載され、同年7月に単行本化されました。以降も新潮文庫版が発行され、多くの読者に愛されています。

宮部みゆきは創作の初期に、「最後の一行に犯人を置く」というアイデアからこのストーリーを考え始めました。特に多重債務に関連したテーマに強い興味を抱き、弁護士としての自身の経験を元に、物語が生み出されていったと語っています。また、物語のタイトルは、水木しげるの著作に登場する「火車」という言葉から着想を得たものです。

本作は、週刊文春ミステリーベスト10で第1位を獲得し、直木賞にもノミネートされました。賛否両論ありましたが、最終的には第6回山本周五郎賞を受賞。また、「このミステリーがすごい!」のベスト・オブ・ベストにも選ばれました。

あらすじ

物語は刑事・本間俊介が休職中に始まります。彼は亡き妻の親戚である銀行員・栗坂和也から失踪した婚約者・関根彰子を探してほしいと依頼されます。彰子には自己破産の過去があり、この情報が事件のさまざまな展開につながることになります。調査を進める中で、本間は彼女に関する二重生活や消費者金融の悲惨な実態に直面します。

本間は彰子の親戚や記者を装い、さらに調査を行いますが、彼女の経歴が錯綜し、本物と偽物の関根彰子がいることが明らかに。都会の生活に憧れ、借金に苦しむ女性たちの痛ましい過去が浮かび上がり、社会問題である多重債務の怖さがリアルに描かれています。

登場人物

• - 本間 俊介: 休職中の警察官。
• - 関根 彰子: 本物の関根彰子。
• - 新城 営子: 偽の関根彰子。
• - 栗坂 和也: 彰子の婚約者。

物語は、彼らの絡み合った人間関係と置かれた境遇を通じ、多重債務の影響を受けた現代女性の姿を映し出します。

メディア展開

本作は1994年と2011年にテレビドラマ化され、多くの視聴者から支持を集めました。特に、2011年版では主人公の設定が変更され、ストーリーにも新しい視点が加わりました。また、2012年には韓国で映画化されるなど、国を超えてそのストーリー展開が続いています。

『火車』は、単なるミステリーにとどまらず、消費者金融の影が映し出した社会問題に焦点を当てた作品であり、多くの人々に考えさせられる内容となっています。

もう一度検索