災害派遣医療チーム

災害派遣医療チーム（DMAT）について

災害派遣医療チーム、通称DMATは、医師、看護師、医療系専門職、事務職員から成る医療チームです。主に大規模災害や大量の傷病者が発生した事故現場で、緊急対応を行うために訓練されています。DMATは、災害発生からおおよそ48時間以内に緊急治療を行う能力を備えた機動的なチームです。

DMATの目的と活動

DMATの主な目的は、災害が発生した直後に迅速に現場に入り、負傷者に対する初期医療を提供することです。具体的には、応急手当や重症患者の病院への搬送、さらには地域病院の支援を行います。初期に活躍するDMATは、被災都道府県の災害拠点[[病院]]を参集拠点とし、設立当初の2005年には約300人だったメンバーが、2011年には6000人、2014年には9000人を超える規模に成長しています。

活動は通常48時間を目安に行われますが、災害から約72時間後には患者数が落ち着き、約100時間で後方支援体制が完備されるため、活動は一旦終了します。ただし、災害の種類や規模により、被災地の医療体制が復旧しない場合もあります。その際は、日本医師会が指揮するJMAT（日本医師会災害医療チーム）がDMATに代わって現地に派遣されます。

DMATの組織と活動分野

DMATは、2005年4月に厚生労働省によって設立されました。主に大規模災害の際に全国から派遣され、さまざまな医療支援が行われます。特に、広域医療搬送、臨時医療拠点の設置、病院支援、地域内での患者搬送など、多岐にわたる活動を行っています。

また、2004年の東京DMAT発足以来、各都道府県DMATの組織も進展しており、地方ごとの災害対応に特化しています。たとえば、横浜市にはYMAT（横浜医療救命チーム）が別組織として運営されています。

広域医療搬送とSCU

DMATは、特に東南海・南海地震などの大規模地震に備えた広域搬送拠点を設定しています。災害時の応急対策活動要領に基づき、各県において広域搬送の計画が整備されています。また、南海トラフ地震など具体的なリスクに対しても対応するSCU（Staging Care Unit）も設けられています。

実績

DMATの出動実績としては、2004年の新潟県中越地震を皮切りに、様々な災害や事故へと派遣されています。特に、東日本大震災では多くの医療支援が行われ、被災地の医療機関の負担軽減にも寄与しました。一方で、実際の活動においては、安全確保や救助組織との円滑な連携が課題となっています。

課題と未来

東日本大震災の経験を経て、DMATはさらなる対応力を求められるようになっています。予想外の事態に対処するために、活動の幅を広げる必要があるため、国も見直しを進めている状況です。DMAT隊員の安全確保とともに、消防などとの連携の強化が今後の大きな課題となるでしょう。

結論

災害派遣医療チームは、その迅速な対応と専門的な医療支援により、災害時において重要な役割を果たしています。今後、更なる組織強化と活動の充実が期待されます。

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