災害食

災害食とは

災害食とは、地震や台風などの災害が発生した際に、被災地で生活・活動する全ての人々にとって必要となる食料のことです。この概念は、奥田和子氏らによって提唱され、日本災害食学会によって定義が成文化されました。従来の非常食とは異なり、より幅広い範囲の食料品を対象としています。

災害食の必要性

従来の非常食は、長期保存ができることや、災害直後の栄養補給を主な目的としていました。そのため、被災者の多様なニーズに対応できない場合がありました。そこで、「普段通りの食事ができない状況下での食のあり方」という視点から、「災害食」という概念が生まれました。

日本災害食学会による定義

日本災害食学会では、災害食を以下のように定義しています。

避難所や自宅で被災生活を送る高齢者、乳幼児、障害者、疾病患者など、日常的に特定の食事を必要とする人々、さらには救援活動に従事する人々など、被災地で生活・活動する全ての人々にとって必要な食事
室温で保存できる食品および飲料
加工食品（飲料を含む）および災害時に限定された熱源や水で調理可能な食品

災害食の経緯

2005年に新潟大学で開催されたシンポジウムで、初めて「災害食」という言葉が公に発表されました。その後、専門家による検討が進められ、新しい加工食品や備蓄方法が考案されました。2013年には、災害食に関する研究と社会への情報発信を目的として、日本災害食学会が設立されました。

日本災害食認証制度

日本災害食学会は、災害時の生活を支え、健康二次災害の発生を防ぐことを目指して、2015年から「日本災害食」という認証制度を設けています。この制度は、災害食に必要な条件を整理し、消費者が商品を選ぶ際の参考となるだけでなく、備蓄を推進することも目的としています。

災害食に含まれるもの

災害食には、以下のようなものが含まれます。

レトルト食品
缶詰
乾燥食品
保存水
栄養補助食品
乳児用食品
アレルギー対応食品
調理不要で食べられる食品

災害時には、電気やガスなどのライフラインが途絶えることも想定されます。そのため、災害食は、常温で保存でき、水や火を使わずに食べられるものが重要となります。また、栄養バランスも考慮されている必要があり、アレルギーを持つ人や特別な食事が必要な人にも対応できるものが望ましいでしょう。

災害食の選び方

災害食を選ぶ際には、以下の点に注意しましょう。

賞味期限が長く、保存しやすいものを選ぶ
栄養バランスが考慮されているものを選ぶ
アレルギー対応や特別な食事制限に対応できるものを選ぶ
普段から食べ慣れているものを選ぶ
調理が簡単で、水や火がなくても食べられるものを選ぶ

まとめ

災害食は、被災者の健康と生活を支えるために不可欠なものです。災害への備えとして、適切な災害食を準備しておきましょう。また、普段から災害時の食について家族で話し合っておくことも重要です。

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参考情報

コラム 災害食の選び方 ～ポイントとコツ～ - ウェイバックマシン
大規模災害を想定した食料シミュレーション-南海トラフ巨大地震を対象として- 『土木学会論文集A1（構造・地震工学）』

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