炎の口づけ

『炎の口づけ』詳細解説

『炎の口づけ』は、HBO制作のファンタジー・ドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』の第三章『戦乱の嵐-前篇-』の第5話にあたります。このエピソードでは、ブライアン・コグマンが原作『剣嵐の大地』を基に脚本を手掛け、アレックス・グレイヴスが監督を務めました。

物語の展開

このエピソードでは、以下の主要な出来事が描かれます。

ドラゴンストーン: スタニス・バラシオンは、メリサンドルから自身の不貞を知らされたセリーン王妃に謝罪します。また、スタニスは娘シリーンと面会し、ダヴォスが反逆罪で投獄されたことを伝えます。その後、シリーンはダヴォスの元を訪れ、文字を教え始めます。
リヴァーランド: ベリック・ドンダリオンとハウンドの決闘裁判が行われ、ハウンドが勝利しドンダリオンを殺害します。しかし、ミアのソロスによってドンダリオンは蘇生します。また、リカード・カースターク公は、ラニスター家の少年たちを殺害したことでロブに処刑されます。ロブはカースターク家の兵を失ったため、フレイ家との同盟を模索します。
ハレンの巨城: ロックはジェイミーとブライエニーをルース・ボルトンに引き渡します。ジェイミーは元メイスターのクァイバーンによって治療を受け、その後ブライエニーと再会します。ジェイミーはブライエニーに自身の過去を語ります。
〈壁〉の向こう側: ジョンはイグリットと愛を交わし、〈冥夜の守人〉の誓いを破ります。
狭い海の向こう側: デナーリスは〈穢れなき軍団〉の士官たちと会い、グレイ・ワームが指揮官に選ばれます。
キングズランディング: サーセイはベイリッシュにタイレル家を追放するよう依頼します。また、サンサはベイリッシュから〈谷間〉へ共に旅することを提案されますが、キングズランディングに残りたいと答えます。ティリオンはタイレル家との結婚式の費用について話し合い、タイウィン公はサンサとティリオンを結婚させる計画を立てます。

注目すべき点

ベリック・ドンダリオンの蘇生: ソロスの魔術によって蘇生するシーンは、この物語における魔法の力を象徴的に表しています。また、死からの復活は、後の展開において重要な意味を持つことになります。
カースターク公の処刑: ロブによるカースターク公の処刑は、戦争における複雑な道徳的ジレンマを浮き彫りにします。ロブの決断は、その後の戦略に大きな影響を与えます。
ジョンとイグリットの愛: ジョンとイグリットの関係は、この物語における愛と義務の葛藤を描いています。二人の関係は、今後の物語で重要な役割を果たすことになります。
ジェイミーの告白: ブライエニーに自身の過去を語るシーンは、ジェイミーの人間性を深く掘り下げ、彼の複雑な内面を描き出します。

制作背景

このエピソードの脚本は、ブライアン・コグマンによって執筆され、原作の複数の章を基にしています。スタニスと娘のシーンは、キャラクターを紹介するために書き下ろされたものです。また、セリースの死産胎児を保存する描写は、原作にはないコグマンのアイデアです。

ロケ地としては、ベルファスト近郊のスタジオで室内シーンが撮影され、野外シーンは北アイルランド各地で行われました。デナーリスのシーンはモロッコ、ジョンのシーンはアイスランドで撮影されました。ジョンとイグリットの愛の場面は、アイスランドの洞窟で撮影され、実際の温泉も使用されています。

反響

このエピソードは、初回視聴者数535万人を記録し、18-49歳の視聴率は2.8%となりました。また、2013年のプライムタイム・エミー賞では、メークアップ賞（シングルカメラ・シリーズ部門）を受賞しました。

『炎の口づけ』は、物語を大きく動かす重要なエピソードであり、ファンにとっては見逃せない回と言えるでしょう。

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