炎の島

『ドラムズ・オン・ファイアー・マウンテン』（Drums on Fire Mountain）は、1984年にTSR社から出版された、ダンジョンズ&ドラゴンズ（D&D）エキスパート・ルール用の冒険モジュールです。1989年には、株式会社新和によって『炎の島』というタイトルで日本語版が出版されました。

ストーリー概要

舞台は、大きな帝国の南東に位置する、孤立した火山島。プレイヤーキャラクター（PC）たちは、海運商人ギルドのマスターから依頼を受け、この島に潜む緑色の肌をした邪悪な半人部族に立ち向かうことになります。彼らは「豚」を神として崇拝しており、島には古代の坑道が張り巡らされています。PCたちは、密林の島と火山の地下に広がる複雑な迷路を探索しながら、部族の陰謀を阻止し、島の平和を取り戻すために戦います。

出版の経緯

オリジナル版である『X8 Drums on Fire Mountain』は、32ページの小冊子と外装カバーの形態で出版されました。グレイム・モリスとトム・カービイが執筆を担当し、ブライアン・ウィリアムズがアートワークを手がけました。本文イラストと地図作成はポール・ルイスが担当しています。このモジュールは、エキスパート・ルールに合わせて設計されており、中級レベルのPC向けに調整されています。

評価

『ホワイトドワーフ』誌で、グラハム・ステープルハーストによってレビューされ、10段階評価で8という高評価を得ました。ステープルハーストは、このモジュールを「D&Dシナリオの守備範囲の歓迎すべき追加」と評し、その独特な設定を高く評価しました。彼は、ポリネシアの要素を基調としつつ、アメリカ先住民やアフリカの要素を巧みに取り入れている点を指摘し、この設定が既存のキャンペーンに組み込みやすいと感じました。また、社会、歴史、そして島全体の雰囲気に至るまで、細部にわたる配慮がなされていることを称賛し、プレイヤーとダンジョンマスター（DM）の両方が満足できるシナリオであると述べました。彼は、知的なゲームの理由付けと、プレイヤーの腕前と楽しみのバランスが取れている点を評価し、「大いにお勧めできる」と結論付けました。

ローレンス・シックは、1991年の著書『ヒロイック・ワールズ』の中で、このシナリオを「魔法を使うデビル=スワインが登場する。君はこいつをどうやって倒す？」という一文で簡潔に紹介しています。これは、このモジュールがユニークで記憶に残る敵キャラクターと遭遇を提供するものであることを示唆しています。

『ドラムズ・オン・ファイアー・マウンテン』は、そのエキゾチックな舞台設定、魅力的なストーリー、そしてバランスの取れたゲームプレイによって、D&Dモジュールの中でも高く評価されている作品の一つです。

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