新和

株式会社新和：ダンジョンズ&ドラゴンズの先駆者、その光と影

株式会社新和は、かつて[東京都]]台東区柳橋に存在した出版社です。1980年代半ばから1990年代初頭にかけて、ダンジョンズ&ドラゴンズ]関連商品の出版でその名を知られました。特に、[[テーブルトークRPG（TRPG）を日本に広めた功績は大きく、日本のゲーム文化に多大な影響を与えたと言えるでしょう。

しかし、1993年頃に事業を事実上停止し、翌1994年から1995年頃には倒産または他社への事業吸収という形でその歴史に幕を閉じました。その経緯は定かではありません。

D&Dの日本語版展開

新和は1985年、「ダンジョンズ&ドラゴンズ」第4版の日本語訳、通称「赤箱」を発売し、これが大ヒットしました。以後も順調に商品展開を続けましたが、1991年に「アドバンスド・ダンジョンズ&ドラゴンズ」第2版の日本語訳を出版した際、ユーザーの移行に失敗し、AD&Dからは撤退しています。

1994年初頭には、前年11月付けでダンジョンズ&ドラゴンズの翻訳・出版権がメディアワークスに移譲されたことが発表されました。

その他の商品展開

D&D以外にも、カードゲーム「ドラゴンランスカードゲーム」や「ひつじさん」、ボードゲーム「だいす☆くえすと」シリーズなどを展開していました。「だいす☆くえすと」には、ラルパーサのメタルフィギュアが同梱されたボックスセットも存在しました。

刊行雑誌

新和は、ホビーショップでの流通や通信販売を前提とした雑誌を刊行しており、一般書店での流通は行いませんでした。

ドラゴン・マガジン: 1986年創刊。D&DおよびAD&Dの日本語サポート冊子・会報として不定期に4号のみ発行されました。TSR社のD&Dサポート誌「ドラゴン」にあやかったものと思われます。
ファンタジー・ゲーマーズ・ジャーナル: 1987年6月より発行された「ドラゴン・マガジン」の後継誌。同様の体裁で不定期に5号から7号までの3冊が刊行されました。
オフィシャル・D&D・マガジン: 1988年6月より隔月刊で発行開始。9号より月刊となりましたが、最終的には刊行が不安定になり、1991年頃に23号で消滅しました。TSR「ドラゴン」誌からの翻訳記事や国内アマチュアライターによる記事、読者投稿コーナーなどを収録していました。
オフィシャル・D&D・マガジン別冊 プレイングガイド: 本誌のダイジェスト版として7号まで出版されました。
* ファンタスティック・ゲームズ (FG'91): 1号のみの発行。

ユーザー・コミュニティとの関わり

新和は、「ドラゴン・ファン・クラブ」(DFC）という公認のD&Dファンクラブを設立し、自社主催のコンベンションを開催するなど、ユーザーらの草の根サークルの支援も行っていました。ユーザーからのボランティアをスタッフとして募るなど、コミュニティ運営に力を入れていたことが、クラシックD&Dの成功に大きく貢献したと言えるでしょう。

しかし、一方で、版権については厳しい態度をとる事でも知られており、「同人つぶし」と呼ばれるような事態も発生しました。背景には本国TSR社の意向もあったと言われていますが、ユーザーのボランティア精神を利用しながら、自主的な活動に制限を加えるような姿勢には批判も多くありました。

新和は、D&Dを日本に広めた功績は大きいものの、その運営には光と影の部分があったと言えるでしょう。

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