炭焼きレストランさわやか

「炭焼きレストランさわやか」は、静岡県内のみに店舗を展開するステーキ・ハンバーグレストランチェーンです。地元では「さわやか」の愛称で親しまれ、看板メニューの「げんこつハンバーグ」は、県内外から訪れる多くの人々を魅了し続けています。

概要

2020年6月時点で、さわやかは伊豆半島を除く静岡県全域に34店舗を構えています。特に浜松市には12店舗を展開し、遠州地方を代表するファミリーレストランとして確固たる地位を築いています。県西部では、長年の歴史から「子どものお祝いはさわやかで」という声も聞かれるほど、地域に根付いた存在です。

店舗の多くはロードサイド型ですが、函南店、御殿場インター店、新静岡セノバ店など、駅近や駅ビル内の店舗も存在し、遠方からのアクセスも容易です。木造の温かみのある店舗デザインや、お祭り気分を盛り上げる店内の装飾、炭火焼きの調理法など、「ふるさと」や「おふくろの味」を彷彿とさせる演出が特徴的です。

社名「さわやか」には、味だけでなく、客へのサービスにおいても母親が赤ちゃんに注ぐ愛情のように細やかな心遣いを大切にするという企業理念が込められています。

こだわりのハンバーグ

さわやかのハンバーグは、牛肉の鮮度と品質を保つため、静岡県内のみでの店舗展開にこだわっています。袋井市の本社工場から各店舗へ当日配送される牛肉は、その日のうちに使い切るのが原則です。県外からも出店を望む声が多数寄せられていますが、創業者は店舗拡大よりも、顧客に「また来たい」と思ってもらえるような人材育成を優先しています。店長を任せられる人材の育成には時間がかかり、その人数が限られているため、無理な出店はできないというのが理由です。

歴史

さわやかは、もともと「グリーン観光」という社名で、喫茶店としてスタートしました。1977年7月に菊川町（現菊川市）に1号店「コーヒーショップさわやか」をオープン。その後、遠州地方を中心に店舗を拡大しました。当初は、うなぎのタレを使ったカツ鍋、紀州備長炭で焼くハンバーグ、厳選牛肉のステーキが看板メニューでしたが、ハンバーグの人気が高まり、1989年8月に現在の店名「炭焼きレストランさわやか」に変更。1992年には県西部以外で初の店舗となる藤枝本店をオープンしました。

バブル崩壊後には売上高が落ち込むという苦境も経験しましたが、顧客からの「昔のような夢のある楽しい店に戻ってほしい」という手紙と、アメリカ視察を機に、主力商品の「げんこつハンバーグ」をさらに強化する戦略へと転換しました。

2002年以降は、静岡市や県東部への出店も開始し、県内全域への展開を進めています。2024年現在、東京に近い東部の店舗では数時間待ちが当たり前になるほどの人気ぶりです。

テイクアウト・配膳ロボットの非導入

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で多くの飲食店がテイクアウトに力を入れる中、さわやかはテイクアウトを一切実施していません。これは、「モノではなく体験を提供している」という理念に基づいた判断です。同様の理由から、配膳ロボットや注文用タッチパネルも導入していません。

ハンバーグやソースの販売も行っておらず、他社から類似品が販売される状況に対しては、「当社とは関係ない」「当社レストランでしか食べられない」旨の注意喚起を行っています。

近年の動向

2020年には静岡インター店で火災が発生しましたが、多くの顧客からの再開を望む声を受け、翌年リニューアルオープンしました。2024年には創業者が死去し、全店で服喪休業しました。また、同年には従業員の待遇向上などを理由に、週1日の定休日を導入し、営業時間を短縮しました。原材料費の高騰を受け、同年10月には「げんこつハンバーグ」などの価格改定も行われました。

メニュー

- げんこつハンバーグ

さわやかの代名詞とも言える人気メニュー。炭火で焼き上げられた牛肉100%のハンバーグを、客席でスタッフがカットし、オニオンソースまたはデミグラスソースをかけて提供されます。レアの状態から好みの焼き加減で楽しめるのが特徴です。

- おにぎりハンバーグ

げんこつハンバーグより少し ছোটぶりのハンバーグ。「げんこつ」は「父からの愛情」、「おにぎり」は「母からの愛情」を意味しています。

炭焼きレストランさわやか