炭素12

炭素12（Carbon-12）について

炭素12（たんそ12、Carbon-12、^12C）は、自然界に存在する炭素同位体の中で最も豊富であり、約98.89%を占めています。この同位体は6個の陽子、6個の中性子、6個の電子から構成されており、安定した原子構造を持っています。炭素12は、すべての原子核の質量の基準として特に重要であり、原子量の測定にも幅広く使用されています。

炭素12の重要性

炭素12は、統一原子質量単位の基準とされ、その質量の1/12が1単位として定義されています。したがって、他の元素の原子量は炭素12の質量に対する相対的な質量として表されます。2019年以前は、モルの定義にも炭素12が使われており、その重要性は高いものでした。しかし、この定義は新たにアボガドロ定数に基づくものに変更されました。

歴史的背景

1959年以前、モルの定義には酸素原子が使用されていました。国際的な化学会と物理学会の間には解釈の違いがありましたが、1959/60年に両者は合意に達し、モルは「0.012kgの炭素12を含む基本粒子の数」と定義されました。1961年には正式に炭素12が全ての原子核質量の標準として採用されることとなりました。この新しい定義は、国際度量衡委員会によっても受け入れられ、1971年には国際度量衡総会でも採択されました。1980年には、炭素12原子が結合のない基底状態にあると定義されました。

モルの新しい定義

しかし、2019年5月20日に再びモルの定義が見直され、アボガドロ定数（6.02214076×10^23）を基準にした新しい定義が適用されました。この変更に伴い、1モルの炭素12の質量は、以前の12グラムから11.9999999958(36)グラムに変わりました。

ホイル状態

ホイル状態は、炭素12が励起された状態を指します。この現象は、赤色巨星の内部で三つのヘリウム原子が核融合して炭素を生成する際に重要な役割を果たします。1950年代にフレッド・ホイルが指摘したこの現象は、宇宙に存在する重元素の観測から導き出されました。ホイル状態によってトリプルアルファ過程が発生し、炭素が形成されるのです。ホイル状態の存在は確認されていますが、その特性についてはまだ完全には理解されていません。

同位体の分離方法

炭素の同位体は、カルバミン酸アミンとのカスケード反応を通じて分離されます。このプロセスでは、二酸化炭素ガスの形で同位体を取り分けることが可能です。

炭素12は、化学や物理学の基礎において非常に重要な役割を果たしており、その特性は科学研究にとって欠かせない要素となっています。

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