点描のしくみ

点描のしくみ（てんびょうのしくみ）

日本の音楽シーンで独自の世界観を確立してきたミュージシャン、吉井和哉による12枚目のシングルとして、「点描のしくみ」は2012年8月29日にEMIミュージック・ジャパンから発売されました。このシングルは、前作からおよそ1年半の期間を経てリリースされた待望の作品となりました。

概要

本作の視覚的なイメージを彩るのは、気鋭の点描画家である大城清太氏の才能です。シングルのジャケットには、彼がこの作品のために特別に描き下ろした「蓮玉 -れんぎょく」と題された、繊細かつ力強い点描画が採用されました。視覚面においても、楽曲の世界観と共鳴するアートワークが選ばれています。

また、付属するミュージックビデオも注目に値します。映像作家の高橋英介氏が監督を務めたこのビデオには、当時独特のキャラクターで注目を集めていたモデルの栗原類氏が出演しており、楽曲の持つ雰囲気やテーマを映像を通して表現しています。

収録曲

このシングルには、表題曲を含む全3曲が収録されており、全ての楽曲の作詞、作曲、編曲は吉井和哉自身が手掛けています。

1. 点描のしくみ [4:37]
本作のタイトルを冠するこの楽曲は、クロックワークス配給の映画『鍵泥棒のメソッド』の主題歌として書き下ろされました。これは、吉井和哉にとってキャリア初となる映画主題歌への起用であり、新たな試みとしても話題を集めました。楽曲自体は、ミニアルバム『After The Apples』の制作が進められていた時期と同時期に生み出され、当初よりシングル候補として大切に温められていたものです。
発売後には、テレビ朝日系の人気音楽番組『ミュージックステーション』に出演し、この楽曲を生演奏で披露するなど、メディアを通じて広くリスナーに届けられました。

2. 海へいこう [4:46]
カップリング曲の一つである「海へいこう」は、普遍的かつ重厚なテーマである「戦争」をモチーフにした楽曲です。聴き手の心に深く響くメッセージが込められており、シリアスなテーマに真摯に向き合った一曲となっています。
この楽曲では、吉井和哉自身の演奏に加え、オルガン奏者として鶴谷崇氏が参加し、楽曲に深みのあるサウンドを加えています。

3. ロックンロールのメソッド [3:54]
もう一方のカップリング曲「ロックンロールのメソッド」は、そのユニークなタイトルが印象的です。このタイトルは、表題曲が主題歌となった映画『鍵泥棒のメソッド』からインスパイアされて名付けられた遊び心溢れる一曲と言えるでしょう。
この楽曲にも、オルガン奏者として鶴谷崇氏が参加しています。後にリリースされたオリジナルアルバム『SUPERNOVACATION』にも収録されました。

参加ミュージシャン

本作のレコーディングには、主に以下のミュージシャンが参加しています。

全演奏: 吉井和哉
吉井和哉自身が多くのパートの演奏を担当し、楽曲の骨子を築いています。
オルガン: 鶴谷崇
「海へいこう」（#2）と「ロックンロールのメソッド」（#3）の2曲において、オルガン演奏で参加し、楽曲に温かみや奥行きのあるサウンドを加えています。

収録アルバム

本シングルに収録された楽曲は、その後に発表されたアルバムにも収録されています。

点描のしくみ:
オリジナルアルバム『18』に、アルバムバージョンとして収録されています。
ロックンロールのメソッド:
オリジナルアルバム『SUPERNOVACATION』に収録されています。

このシングル「点描のしくみ」は、吉井和哉の多様な音楽性と、彼がその時期に描いていた世界観を示す重要な作品の一つと言えるでしょう。特に初の映画主題歌という点は、彼のキャリアにおける新たな扉を開いた出来事として記憶されています。

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