烏尾峠

烏尾峠について

烏尾峠（からすおとうげ）は、福岡県飯塚市と同田川郡糸田町の境界に位置する峠で、一般的には「カラス峠」とも呼ばれています。この峠は国道201号が通っており、飯塚市と田川市を結ぶ重要な交通路として機能しています。

峠の特徴と交通事情

烏尾峠は多くのカーブがあるため、移動には注意が必要ですが、大型車の通行も相当数あります。特に、連続雨量が200mmを超えると、交通規制が行われることがあります。また、土砂崩れや雪などの自然災害によって通行止めとなる場合も少なくありません。

この峠からは、福岡市や飯塚市より田川に向かう際に、香春岳の独特な姿を遠望することが可能です。地域の歴史を語る上では重要な場所であり、筑前国と豊前国の境界でもあります。江戸時代には黒田藩と小倉藩の境界ともなり、当時は山賊の出没が多く、旅人たちは恐れられていました。

歴史的背景と発展

烏尾峠には、国境石が現在でも存在しており、その石は昔の国境の証として重要な役割を果たしています。大正4年から大正11年の間に整備された現在の形状は、この峠を糸田町鼡ケ池方面に通ずる役割を果たすように改修されたものです。それ以前は、旧烏尾峠を通じて糸田町の戸石（現在の糸田町西部地区）に至る道が存在していました。

現在、この旧道は「筑豊緑地 烏尾峠遊歩道」として整備され、周辺には「新烏尾公園」も作られています。このエリアは観光スポットとしての魅力もあり、多くの人々が訪れる場所となっています。

明治以降、1960年代中頃までこの地区は筑豊炭田での炭鉱業が盛んでした。それに伴い、烏尾峠は飯塚と田川を結ぶ重要な経路として利用されていました。特に、五木寛之の小説『青春の門』に描かれた炭鉱地域の暮らし、その中での峠越えの情景は、郷愁を呼び起こすものです。また、山崎ハコの楽曲「織江の唄」にも「カラス峠」というフレーズが登場し、音楽や文学の中でも重要な存在として記憶されています。

近代的な変化

2009年には、烏尾峠の南側に位置する関の山を貫く飯塚庄内田川バイパス内の筑豊烏尾トンネルが開通しました。このトンネルの開通によって、福岡と田川間の移動時間が約10分短縮され、峠を通る車両の交通量は半分以下に減少しました。これにより、過去のような峠の賑わいは少なくなりましたが、今でもその歴史と文化を知ることができる貴重な場所として多くの人々に愛されています。

烏尾峠は、自然美と人々の歴史が交差する魅力的なスポットであり、訪れることでその多様な顔を感じることができるでしょう。

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