烏山川

烏山川：暗渠に眠る川の記憶

烏山川は、かつて東京都世田谷区内を流れていた二級河川であり、現在の目黒川を形成する重要な支流の一つでした。しかし、1970年代以降の都市開発に伴い、そのほとんどが暗渠化され、下水道（烏山幹線）へと姿を変えました。現在では、その暗渠の上部が「烏山川緑道」として整備され、地域住民の憩いの場となっています。

烏山川の源流と流路

烏山川と北沢川は、源流を玉川上水近くに持ち、かつては玉川上水からの分水も存在していました。現在の烏山川の源流は、世田谷区北烏山にある高源院の弁財天堂の池とされています。そこから流れ出した川は、北烏山4丁目を東へ流れ、松葉通りで合流します。その後、幻照寺の北や都営烏山アパートの中を通り、玉川上水からの流れを合わせながら南へと進路を変えます。

木の公園の東側で再び東西に分かれ、烏山松葉通住宅の中や東端、そして芦花公園駅の西端の踏切と駅の下をくぐり抜け、芦花公園団地と烏山南住宅の間で合流。再び南北に分かれ、世田谷区立芦花小学校・中学校の北西で一つになります。この二又に分かれる区間については、人工用水路であるか、あるいは両方とも天然の川であるかは定かではありません。

環八通りを越えると、八幡山駅南西からの流れと合流し南へ向かいます。この付近は、北沢川の源流である将軍池から800mほどの距離にあり、かつては両河川の水量を調整するための用水路が設けられていました。明治大学八幡山グラウンドの西側からは、南東方向に流れ、希望ヶ丘団地で水無川と合流します。水無川は、芦花公園西交差点近くから緑道として整備されており、千歳烏山駅を通り、三鷹市内では中川または仲川と名前を変え、牟礼2丁目交差点近くまでその流れを辿ることができます。水無川は、目黒川を形成する天然河川としては最も奥深い源流を持ち、1964年の河川法改正までは、水無川・中川が目黒川・烏山川の本流とされていました。

経堂駅の南から東へと流れを変え、鴎友学園の北や宮の坂駅の南を蛇行しながら進み、上町駅の北で桜2丁目、3丁目からの支流と合流します。この付近は、目黒川水系の支流である蛇崩川の源流にも非常に近い場所です。世田谷城址公園の南を通り、国士館大学世田谷キャンパス内をS字状に流れ、若林駅からは東急世田谷線の北側をほぼ並行して進み、西太子堂駅付近から北東へと向きを変えます。

そして、三宿2丁目・池尻3丁目・池尻4丁目において、西から流れてきた烏山川と北から流れてきた北沢川が合流し、ここから流れは目黒川へと名前を変え、東へと流れていきます。

烏山川の流路延長は、全長11.70kmです。

暗渠化と緑道化

都市化の波の中で、烏山川は暗渠化という選択を迫られました。しかし、その上に整備された烏山川緑道は、コンクリートの下に眠る川の記憶を人々に伝えながら、新たな憩いの場として親しまれています。かつての川の流れを思い起こしながら、緑道を散策してみてはいかがでしょうか。

参考文献

下山照夫 文、小倉得宇 絵 『烏山の寺所をたずねて』（世田谷区立烏山図書館情報誌「からすやま」32-60号連載、1996年。）

外部リンク

東京都第二建設事務所

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