無人機研究システム

無人機研究システム

無人機研究システムは、防衛装備庁と富士重工業が共同で開発した偵察用の無人機です。このシステムは、偵察機としての機能を高め、運用や装備の整備に必要な技術を研究するために設計されました。具体的には、偵察の高度化や航空交通管制の支援など、さまざまなミッションに対応できるように設計されています。

開発の経緯

無人機研究システムの開発は、1995年から2001年にかけて行われた「多用途小型無人機（TACOM）」の研究から始まりました。この研究では、航空機からの空中発射と海上回収の方法を試行しましたが、発進と回収に多大な労力を要し、特に波浪による回収の困難さが課題として浮かび上がりました。このため、滑走路に着陸できる無人機への再検討が行われることとなりました。

2001年度から2003年度には無人機研究システムの部内研究が進められ、2004年度から2009年度にかけて試作機が開発されました。この試作には、4機の試験機と一式の地上装置、さらに機上装置が含まれています。具体的には、発進指令パネルや燃料調整用のバラストなどが装備され、従来の多用途小型無人機を基にして改良が施されました。

試験は2008年度から2011年度にかけて行われ、発進母機であるF-15に搭載した状態でのテストや、自立飛行の能力に関する試験が実施されました。この過程で岐阜基地や硫黄島航空基地での試験が行われ、様々な飛行状況下での性能検証が行われました。2012年度には正式に部隊使用の承認が得られ、開発にかかった総経費は約103億円に達しました。

性能と機能

無人機研究システムは、F-15Jからの発進が可能であり、自律飛行のためのプリプログラムが用意されています。運用状況に応じて、地上装置からの経路変更指令を受けて飛行することもでき、偵察データを即時に地上に伝送することができます。また、機内にもデータが記録され、必要に応じて抽出して地上装置に送信することが可能です。

偵察機能には、画像追随や地点追随、高精度な位置標定があり、高速・大容量のデータリンク技術を活用してリアルタイムで画像を伝送することも実現しています。地上装置においては、飛行経路の変更や緊急回避、着陸パターンの変更など、多彩な操作が可能です。

発進母機からは無人機への電力供給がされるほか、帰投や緊急指令も行えます。また、計器着陸システムに代わり、GPSを利用した航法システムにより、自動的な高速滑走路への着陸も実現されています。

諸元

• - 全長: 5.2 m
• - 全幅: 2.5 m
• - 全高: 1.6 m
• - 重量: 760 kg
• - 最大飛行高度: 12 km
• - エンジン: テレダイン J402-CA-702
• - センサー: ウェスカム MX-15

このように無人機研究システムは、高度な偵察機能と自律飛行能力を有し、現代の航空ミッションにおいて非常に重要な役割を果たす機体となっています。

もう一度検索