無償教育

無償教育について

無償教育（むしょうきょういく）は、授業料を必要とせず、政府や慈善団体によって支援される教育形態です。この教育制度は、特に基本的な教育制度において広く導入されており、初等教育や中等教育が無償で受けられる国が多いです。北欧諸国では、大学院教育も無償で提供される場合があります。また、社会権規約の第13条では、初等教育のみならず、中等教育や高等教育における無償教育の推進が権利として認められています。

各国における無償教育の状況

無償教育の実施状況は国によって異なり、具体的な取り組みは地域や政権によって変化しています。以下に、いくつかの国の無償教育の状況を詳述します。

ノルウェー

ノルウェーでは、公立教育機関においてEU・EEA・EFTA圏内の学生に無償教育を提供しています。2023年度までは、留学生を含む全ての学生に対して授業料が無料でしたが、2023年の法改正により、EU圏外の学生には授業料が導入されました。しかし、オスロ大学では、600クローネ（約8000円弱）の学期納付金を除いて授業料はかかりません。

スウェーデン

スウェーデンの大学では、以前は留学生を含むすべての学生に無償の教育が提供されていましたが、2011年の秋からEU・EEA・EFTA圏外の学生に対して授業料が導入されることになりました。これにより、スウェーデンの高等教育機関へのアクセスが一部で制限される形となりました。

デンマーク

デンマークでは、EU・EEA・EFTA圏内の学生に対して大学教育は無償で提供されており、18歳以上の学生や高等教育に通う18歳未満の学生には毎月の給付金、いわゆる学生給付金（SU）が支給されます。

エストニア

エストニアでは、2013年より高等教育が無償化されており、教育機関に対して学生への授業料の免除が適用されています。

フランス

フランスでは、EU・EEA圏内の学生に対して高等教育が準無償で提供されています。2023年時点で、大学の登録料は年間学士課程170ユーロ、修士課程243ユーロ、博士課程380ユーロとなっており、これらの料金は家庭の収入に基づいて段階的に減免または完全に免除される制度が設けられています。

ドイツ

ドイツの州立高等教育機関では、1970年に授業料が廃止されて以来、無償教育の方針が維持されていますが、2020年時点では州によっては学籍登録料や特定の条件下で授業料が徴収されるケースがあります。各州の事情に応じて無償教育に関する方針は変化してきた歴史があり、特に1990年代には財政的な理由から授業料の導入が検討されるなど、議論が続いてきました。

その他の国

アルゼンチン、ブラジル、キューバ、チェコ、ギリシャ、ハンガリー、トルコ、ウルグアイなど、多くの国では市民に対して高等教育を含む全ての段階での無償教育が規定されています。チリでも2008年から大学無償化が遂行されています。

無償教育は、教育の普及と平等を目指す重要な取り組みです。国や地域によってその形態は異なりますが、多くの場合、社会において知識の普及を促進し、経済的余裕がない人々にも教育にアクセスする機会を提供しています。

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