無心体

無心体（むしんたい）についての詳細

無心体とは、一卵性多胎の中で特に一絨毛膜性のものに見られる異常現象で、心臓を全く持たないか、わずかな痕跡しか存在しない状態を指します。この異常は、おもに一卵性双胎で観察され、分娩後の生存は不可能です。そのため、無心体は死産とは扱われません。

無心体の外見や内部構造は、正常な胎児と比較して大きく異なることが一般的であり、心臓を持たないことに加えて、著しい奇形が見られることがしばしばあります。無心体の状態を理解するためには、その分類も重要です。具体的には、全身無心体、半身無心体、無胸無頭無心体、無胴無心体、無形無心体などに分けられます。それぞれの分類は、身体の主要部分の欠損状況に基づいています。

無心体双胎という特別な形態も存在します。この場合、一方の胎児が無心体であり、もう一方は正常な胎児、通称ポンプ児と呼ばれます。無心体とポンプ児の臍帯の血管は接続されているため、ポンプ児からの血流が無心体に直接流入し、無心体の発育を助けます。しかし、この状況はポンプ児の心臓に大きな負担をかけ、結果としてポンプ児も出生前に死亡するリスクが高くなります。医療的介入なしの場合、ポンプ児の生存率は50%未満になると言われています。

このようなリスクを緩和するための代表的な医療処置はラジオ波焼灼術です。この技術は通常肝細胞癌の治療に使われますが、無心体双胎に対しては無心体の血流を遮断する効果があります。この処置を行うことで、ポンプ児の生存率は約90%にまで上昇することが期待されています。

無心体の存在は、1533年にBenedettiによって初めて記録されました。それ以来、医療技術の発展により無心体双胎に対する理解と治療法が進化してきました。現代の医学では、無心体というこの異常についての研究が続けられており、さらなる治療法の開発が進んでいます。

無心体の分類

1. 全身無心体 - 身体の主要部分が全体にわたって理解される状態。痕跡的な心臓が存在する場合もある。
2. 半身無心体 - 身体の上半分または下半分の主要部分が欠けているもの。
- 無頭無心体（身体の上半分に欠損）
- 無胴無心体（身体の下半分に欠損）
3. 無形無心体 - 身体の主要部分がほとんど確認できない状態。

無心体に関する情報は、医療現場や学術研究において重要な意味を持ち、その理解は胎児の発育や双胎妊娠の管理において大変り役立っています。

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