無気肺

無気肺：肺の一部が萎縮する呼吸器疾患

無気肺とは、肺の一部または全体が萎縮し、空気を取り込めなくなる呼吸器疾患です。様々な原因によって気管支が閉塞し、その末梢の肺胞に空気が供給されなくなることで発生します。放置すると肺炎などの二次感染症を引き起こすため、早期発見と治療が非常に重要です。

無気肺の原因

無気肺の主な原因としては、以下のものが挙げられます。

気管支の閉塞：気管支内に血液、痰、異物、腫瘍などが詰まることで気流が遮断され、肺胞への空気供給が妨げられます。特に手術後の出血や、線毛の機能不全による痰の貯留は、無気肺のリスクを高めます。全身麻酔による手術でも、線毛運動の抑制を通して無気肺の発症に繋がる可能性があります。
外傷：交通事故や転落などによる強い外力、爆発などによる急激な圧力変化も無気肺を引き起こす可能性があります。特に、胸部に強い衝撃を受けた場合、肺組織に損傷が生じ、無気肺に至ることがあります。戦闘機パイロットなど、超音速飛行による強い圧力変化が原因となるケースも報告されています。この場合、下側無気肺と呼ばれ、左右の肺の大部分の肺胞が影響を受けることがあります。
呼吸器外科手術：肺や気管支の手術後、出血や炎症によって気管支が閉塞し、無気肺が発生することがあります。これは手術に伴う合併症として認識されています。

無気肺の種類

無気肺には、急性無気肺と慢性無気肺があります。急性無気肺は、原因となる出来事が発生した直後に発症し、比較的短期間で回復する可能性があります。一方、慢性無気肺は、肺組織の破壊や瘢痕化を伴い、長期間にわたって症状が続く場合があります。急性無気肺は、肺に空気がない状態ですが、充血を伴う場合には慢性無気肺へと進行する可能性があります。

無気肺の症状

無気肺の症状は、萎縮した肺の範囲や程度によって異なりますが、一般的な症状としては以下のものが挙げられます。

呼吸困難：息苦しさや呼吸が浅くなる
頻呼吸：呼吸数が通常より多くなる
咳嗽（せき）：痰を排出するためにせき込む
胸痛：胸部に痛みを感じる場合もある
チアノーゼ：皮膚や粘膜が青紫色になる（重症の場合）

無気肺の検査

無気肺の診断には、以下の検査が用いられます。

動脈血液ガス分析（ABG）：血液中の酸素分圧や二酸化炭素分圧を測定することで、肺機能の状態を評価します。
胸部レントゲン写真：肺の萎縮や異常を画像として確認します。
胸部CT検査：より詳細な肺の状態を画像として確認し、無気肺の程度や原因を特定するのに役立ちます。

無気肺の治療

無気肺の治療法は、原因や症状の重症度によって異なります。

痰の吸引：痰が原因の場合は、吸引器を用いて痰を除去します。強い咳を促すことで自然に排出しようとする方法も用いられますが、効果がない場合は吸引が必要となります。
酸素吸入：酸素不足を補うために酸素を吸入します。
薬物療法：感染症の予防や治療のために抗生物質などが用いられる場合があります。
胸腔ドレナージ：胸腔内に溜まった空気を抜く処置を行います。
手術：腫瘍や異物などを外科的に除去する場合があります。

無気肺は早期発見と適切な治療が重要です。呼吸困難などの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

もう一度検索