無火機関車

無火機関車とは何か

無火機関車（むかきかんしゃ）は、化学工場や鉱山のような火気が使用できない環境で使用される特殊な機関車です。この機関車は、火気の利用が制限される場所でも安全に運行することができ、特に粉塵爆発のリスクがある場所や、清潔が求められる食品工場などで活躍します。

無火機関車の種類

無火機関車は二つの主なタイプに分類されます。一つは無火蒸気機関車で、これは蒸気をタンクに貯めて、必要な時に動力源として利用します。もう一つは圧縮空気を利用する方式で、この機種は主に鉱山での使用が多いです。また、無火機関車は英語で「fireless locomotive」と呼ばれ、日本語でも「ファイアレス」と言われることがあります。

無火蒸気機関車

無火蒸気機関車は、通常の蒸気機関車に似ていますが、ボイラーがなく、その代わりに蒸気を蓄えるためのタンクが設置されています。このタンクに外部の定置式ボイラーから水や蒸気が供給され、大気中の圧力が下がるまで稼働し続けます。多くの国では蒸気機関車の設計において、シリンダーの位置が国によって異なり、特に欧州では後方に配置されることが多いです。

例えば、英国の無火蒸気機関車はアンドリュー・バークレー・アンド・サンズやW.G. バグノールといった製造会社から出ています。英国で商業的に運用されていた最後の工業用蒸気機関車も無火タイプでした。日本では八幡製鉄所や横浜の昭和シェル石油で使用され、また中国の製鉄所でも近年まで活躍していました。ドイツでは現在も少数が運用されています。

圧縮空気式機関車

圧縮空気式の機関車は主に鉱山で使用され、時には路面電車でも採用されることがあります。日本では夕張炭砿でアメリカ製の機関車が使われた例があります。蒸気機関車の運行を維持するための高コストを回避するために、この圧縮空気式が選ばれるケースも多く見られます。

特殊な無火機関車

さらに、アンモニアをエネルギー源とする無火機関車が存在します。1870年代に特許が取得され、圧縮空気や蒸気の代わりにアンモニアを用いて運行されたりもしています。また、無火機関車と通常の蒸気機関車のハイブリッドも一部の国で設計されましたが成功例は少ないです。

車軸配置と保存

多くの無火機関車の車軸配置は0-4-0や0-6-0が一般的ですが、0-10-0などの大規模なものも存在します。保存に関しては、複数の機関車が動態保存されており、低温の蒸気で稼働するための十分な圧力が得られています。無火機関車は、特に安全性を重視する場所での運行において、非常に重要な役割を果たしています。

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