無精液症

無精液症の理解

無精液症（むせいえきしょう）とは、精液が完全に欠乏している状態を指します。この状態は、不妊の原因として知られており、他の病状とは明確に区別されます。無精液症は、無精子症とは異なるため注意が必要です。無精子症では、精液中に精子が存在しませんが、射精自体は行われます。一方、無精液症の場合は射精自体がないか、極めて少ない状態です。

無精液症の主な原因

無精液症の原因はいくつか考えられますが、特に注目すべきは逆行性射精です。これは、射精の際に精液が尿道ではなく膀胱内に逆流する現象であり、しばしば薬物の使用や前立腺手術が関与しています。例えば、タムスロシンなどのα遮断薬を使用することで、逆行性射精が引き起こされることがあります。

さらに、射精管閉塞も無精液症の原因となることがあります。この場合、精液は全く出ないか、もし出ているとしても非常に低濃度になります。この状態では、射精管の開口部より下流にある前立腺付属器官からの分泌物のみが精液に含まれることになります。

無精液症と無精子症の違い

この病状は無精子症と混同されやすいですが、明確な違いがあります。無精子症では精子が作られるものの、射精することができません。一方、無精液症では精液が全く存在せず、射精も行われないか、極めて限られた形で行われます。また、逆行性射精が起こる場合、精子は膀胱内に留まり、その環境が酸性のために死滅することになります。そのため、人工授精を行う際には、尿を弱アルカリ性にするための重炭酸塩を経口投与することが推奨されます。

診断と治療

無精液症の診断は、専門的な医療機関で行われます。医師は、患者の病歴や症状を詳しく把握し、必要に応じて血液検査や超音波検査を実施します。これにより、無精液症の原因を特定し、適切な治療計画を立てることが可能です。

治療方法は原因によって異なりますが、逆行性射精の場合には、場合によっては薬物療法や手術が検討されることがあります。また、射精管閉塞が原因である場合、外科的手術により閉塞部を解除する手段もあります。これらの治療により、無精液症の改善を目指します。

まとめ

無精液症は、不妊症の一因として知られる状態であり、様々な要因が関与します。この病状は無精子症とは異なるため、正確な理解が求められます。早期に専門医を訪れ、適切な診断と治療を受けることが重要です。以上の情報を基に、無精液症の認識を深め、必要な対策を講じましょう。

関連項目

• - 精子減少症（oligospermia）
• - 精子無力症（asthenozoospermia）
• - 血精液症（hematospermia）
• - 生殖不能症

外部リンク

• - 精子異常 - MSDマニュアル

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