無線綴じ

無線綴じは、糸や針金を使用せずに糊で背表紙を接着する製本方法の一種です。丁合された折丁の背に直接糊を塗布し、表紙を貼り付けて冊子を仕上げます。広義には「平綴じ」の一種として分類されることもあります。

無線綴じはその名の通り、製本過程で糸や針金などの綴じ具を使用しない点が特徴です。背を切り落として接着面を大きく確保する「切断無線綴じ」と、背に切り込みを入れて糊の浸透を良くする「網代綴じ」の2種類に大別されます。

中綴じと比較すると、無線綴じはやや安価であり、ページのずれが発生しにくいという利点があります。そのため、中綴じよりもページ数の多い冊子に適しています。

無線綴じの構造上、本の背の端のみが糊で固定されています。そのため、本を喉元まで開くことは比較的容易ですが、背を削る工程や糊の柔軟性の問題から、完全に180度開くことはできません。見開きの画像やイラストを掲載する際には、綴じしろを考慮してレイアウトを調整する必要があります。

無線綴じは、漫画雑誌、文庫本、コミックなど、コストを抑えつつページ数を確保したい冊子に広く採用されています。糊だけで固定するため、以前は強度や耐久性に課題がありましたが、近年では糊の品質改良が進み、ページ数の多い大型の冊子にも利用できるようになりました。

関連用語：
* 断裁

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