平綴じ:日本の書籍製本における主流
書籍を製本する方法は様々ありますが、日本で最も一般的な方法が「平綴じ」です。この製本方法は、印刷された紙を折りたたんでページを作り(これを『折丁』と言います)、その背の部分を
針金で留めることで製本されます。
平綴じの工程
1.
丁合(ちょうあい): まず、印刷された紙を正しい順番に折りたたんでページを作ります。この工程を丁合と言います。
2.
綴じ代: 折丁の背から約5mmの部分を残し、この部分を綴じ代として使用します。
3.
針金綴じ: 綴じ代に2~3ヶ所、
針金を用いて折丁を綴じます。この作業によって、ページがバラバラになるのを防ぎます。
4.
背固め:
針金で綴じた背の部分に糊付けを行います。これを「背固め」と呼び、本の強度を高める重要な工程です。
5.
表紙貼り: 最後に、
表紙を貼り付けて製本が完了します。
平綴じの特徴
平綴じは、比較的簡単に、大量の書籍を効率的に生産できることが大きな特徴です。そのため、日本で出版される書籍の大半がこの方法で製本されています。また、コストパフォーマンスにも優れているため、多くの出版社が採用しています。
しかし、ページ数の多い書籍には適していません。ページ数が多いと、本の厚みが増し、
針金綴じだけでは本の強度が保てないためです。そのため、分厚い書籍には中綴じや無線綴じといった他の製本方法が用いられます。
平綴じと他の製本方法
平綴じは、
針金を用いる製本方法ですが、
針金を用いない「無線綴じ」も広義には平綴じに含まれる場合があります。無線綴じは、糊を使ってページを綴じるため、
針金を使用しない分、より自然な仕上がりになります。
一方、「中綴じ」は、紙の折り目を用いてページを綴じる製本方法です。主にパンフレットや雑誌などに用いられ、ページ数が少ない書籍に向いています。また、「リング綴じ」は、リング状の金具でページを綴じる製本方法で、カレンダーや手帳などに用いられることが多いです。
日本の書籍出版における平綴じの重要性
日本で出版される書籍のほとんどが平綴じで製本されていることは、この製本方法が日本の出版業界に深く根付いていることを示しています。その理由は、コスト効率の良さ、生産性の高さ、そして日本の読者の嗜好など、様々な要因が考えられます。日本の書籍市場において、平綴じはなくてはならない製本方法と言えるでしょう。
関連用語
断裁: 印刷された大きな紙を、必要なサイズに切る工程です。
中綴じ: 紙の折り目を利用してページを綴じる製本方法です。
*
リング綴じ: リング状の金具でページを綴じる製本方法です。
まとめ
平綴じは、日本の書籍製本において最も一般的な方法であり、その効率性とコストパフォーマンスから、多くの書籍で採用されています。しかし、ページ数の多い書籍には向かないため、書籍の種類やページ数に応じて適切な製本方法を選択する必要があります。