無資格マッサージ士問題

無資格マッサージ師問題について

無資格マッサージ師問題とは、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を持たない者がマッサージを行うことに関する問題です。本稿では、この問題の定義、歴史的背景、社会的な影響、関係者の主張などを詳細に解説します。

定義

この問題における「無資格」とは、以下の状態を指します。

医療に関する国家資格（あん摩マッサージ指圧師、医師など）を持たない者による施術
民間の団体が発行する独自の資格のみを持つ者による施術
* 医師の指示なしに徒手または器具を用いて人体に刺激を与える医療系国家資格の所持者による施術

これらの行為は、医業類似行為とみなされ、法的に問題となる可能性があります。

医業類似行為とは

医業類似行為とは、あん摩、はり、きゅう、柔道整復の4種に加え、カイロプラクティック、整体、マッサージなど、法律で定められた以外の民間療法を含む概念です。

無資格問題の経緯

昭和22年に「按摩はりきゅう柔道整復等営業法」が制定され、翌年に施行されました。この法律によって、あん摩などの業務を行うには国家資格が必要となりましたが、法施行以前から業務を行っていた者には経過措置が設けられました。

しかし、経過措置期間中に無資格者が増加し、昭和29年には「療術師法」制定を目指す運動が起こりました。医師やあん摩師などの医療関係者はこれに反対し、厚生省も国民の保健衛生上の問題を考慮して対応に苦慮しました。最終的には、療術師法の制定は阻止され、特例として一定の条件を満たす者に対してあん摩師試験が実施されました。

その後も、療術の法制化を求める請願が国会に提出されましたが、実現には至っていません。

名称変更運動

かつて、あん摩・マッサージ・指圧の定義が法律に明確に記載されていなかったため、「○○式マッサージ」などと称する無資格マッサージ師の営業を許す原因となっていました。そこで、あん摩マッサージ指圧師などの資格名称を変更し、これらの治療を一括した呼称にすべきだという運動が起こりましたが、商業的・政治的な思惑が絡み合い、実現には至りませんでした。

社会問題として

無資格者による施術は、医療事故や健康被害を引き起こす可能性があります。国民生活センターも、手技による医業類似行為の危険性を指摘し、注意を呼びかけています。

無資格者による施術所の事故や乳児への施術による死亡事故も発生しており、厚生労働省は無資格者によるあん摩マッサージ指圧業等の防止について通知を出すなどの対策を講じています。

両者の主張

無資格マッサージ師は、医療資格者による民間療法への差別や撲滅運動があると主張し、療術が按摩マッサージとは学術的に異なると訴えています。

一方、免許保有者は、無資格者による施術は人体に有害である可能性があり、脱法行為であると批判しています。医療は国民衛生に関わるインフラであり、国家資格が必要であると主張しています。

中立的視点

この問題は、法的な厳格な運用を求めるか、または現状を維持するかという難しい選択を迫られています。法治国家としての行政手腕が問われる複雑な問題です。

まとめ

無資格マッサージ師問題は、法的な問題だけでなく、国民の健康や安全に関わる重要な問題です。関係者の主張や社会的な影響を考慮し、適切な解決策を見出す必要があります。

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