焼玉式焼夷弾

焼玉式焼夷弾（やきだましきしょういだん）

焼玉式焼夷弾は、19世紀後半まで広く使用されていた一種の焼夷弾です。この武器は鉄製の砲弾を高温に加熱した後に発射し、目標に火災を引き起こすことを目的としていました。単に「焼玉」とも呼ばれ、英語からの和訳で「ホット・ショット」という表現も存在します。

歴史的に見て、初期の火砲に使われる弾丸は、鉄や石で作られた球体であり、発射しても爆発はしませんでした。砲撃の効果を高めるため、これらの弾丸は炉で赤熱させられ、砲に装填されることで、目標に衝撃と火災をもたらすことを試みました。この方法により、発射された焼玉は高熱によって木材や布などの可燃物を点火しました。特に、当時木造の軍艦が主流だったため、焼玉は効果的な兵器とみなされていました。そのため、欧米では火砲と共に焼玉を加熱するための炉が据え付けられていました。

ただし、海戦においては砲弾加熱炉が火災を誘発する危険性もあったため、焼玉式焼夷弾は陸上からの対艦攻撃に主に使用されました。発射時には、砲弾の熱によって発射薬が引火しないように、粘土を挟んで遮熱する必要があり、非常に慎重な取り扱いが求められました。

その後、炸薬を充填した榴弾が開発され、初期の信管は不良による不発が頻発していたため、依然として焼玉式焼夷弾は比較的信頼性の高い武器として用いられていました。しかし、信管の技術が進化し、その精度と信頼性が向上するにつれて、焼玉は次第に榴弾に取って代わられることになりました。

日本でも幕末の時代に焼玉が使用され、特に対艦戦闘や攻城戦での役割を果たしました。防御側は、「焼玉押さえ」として、着弾した焼玉を濡れた布で包むことで発火を防ぐ対策を講じました。榴弾が欧米から導入され、次第に一般化するにつれ、焼玉は使用されなくなっていきました。

関連項目

• - ぶどう弾
• - キャニスター弾

外部リンク

• - [砲弾加熱炉の写真]
• - [History No. 7: Hot Shot Furnaces] - アメリカ合衆国国立公園が保存管理する砲弾加熱炉に関する解説

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