煎本増夫

煎本増夫（いりもと ますお、1930年 - ）は、日本の歴史学者であり、特に江戸時代に関する研究で知られています。

人物・来歴

煎本氏は神戸市で生まれ、1960年に明治大学大学院の修士課程を修了しました。その後、神奈川県立横浜平沼高等学校で教諭を務め、明治大学や國學院大學で講師として教鞭をとりました。また、相武歴史研究会の代表としても活動し、地域に根ざした歴史研究にも貢献しました。

研究内容と著書

煎本氏の研究は、江戸幕府の成立過程、社会構造、そして徳川氏に関するものが中心です。彼の著作は、史料に基づいた詳細な分析と、わかりやすい解説が特徴です。代表的な著書には以下のようなものがあります。

『幕藩体制成立史の研究』（雄山閣出版, 1979.12）：江戸幕府の幕藩体制がどのように確立されたのかを詳細に分析した研究書です。
『島原の乱』（教育社歴史新書, 1980.4）：島原の乱の原因、経過、そしてその歴史的意義について解説した書籍です。一般読者にも読みやすい新書形式で出版されています。
『江戸幕府と譜代藩』（雄山閣出版, 1996.3）：江戸幕府を支えた譜代大名に焦点を当て、彼らの役割と幕府との関係を分析しています。
『戦国時代の徳川氏』（新人物往来社, 1998.10）：徳川家康が天下統一を果たすまでの過程を、戦国時代の徳川氏の視点から描いた書籍です。
『徳川三代と幕府成立』（新人物往来社, 2000.2）：徳川家康、秀忠、家光の三代にわたる将軍の時代を通して、江戸幕府の基礎がどのように築かれたのかを解説しています。
『五人組と近世村落 連帯責任制の歴史』（雄山閣, 2009.8）：江戸時代の村落における五人組制度に着目し、その連帯責任制が村社会にどのような影響を与えたのかを考察しています。
『島原・天草の乱 信仰に生きたキリシタンの戦い』（新人物往来社, 2010.1）：島原・天草の乱を、キリシタンの信仰という側面から捉え、その戦いの背景と人々の思いを掘り下げています。
『徳川家康家臣団の事典』（東京堂出版, 2015.1）：徳川家康を支えた家臣団に焦点を当て、個々の家臣の事績や系譜をまとめた事典です。
* 『いま、天皇を考える 再び戦争を起こさないために』（同時代社, 2017.7）：天皇の存在意義を問い、平和な社会を築くための提言を行っています。

共著

煎本氏は、共著として『史料が語る江戸時代の飢饉 公助・共助・自助の実態』（有史会共著, 有史会, 2016.3）も出版しています。この書籍では、江戸時代の飢饉における公助、共助、自助の実態を史料に基づいて分析しています。

煎本増夫氏は、長年にわたり江戸時代の歴史研究に貢献し、多くの著作を通じてその成果を社会に還元してきました。彼の研究は、日本の歴史を深く理解するための重要な資料となっています。

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