熊本市立大江小学校

熊本市立大江小学校は、熊本県の県庁所在地である熊本市の中央区、大江三丁目に所在する公立の小学校です。この学校は、地域の子どもたちが学ぶ教育機関として、長い歴史と伝統を有しています。

沿革

大江小学校の歴史は明治時代の初期に遡ります。学校の源流は、1874年（明治7年）に開校した二つの学校に求められます。一つは当時の九品寺村に設立された九品学校で、開校当初は教員1名に対し児童62名が学んでいました。もう一つは、大江村（現在の地名では大江川鶴にあたる地域）の善行寺に設けられた大江小学校で、こちらも教員1名、児童67名でスタートしました。この二校は、その後の教育制度の変遷に伴い、1880年（明治13年）にはそれぞれ公立九品寺小学校、公立大江小学校へと名称を改めています。

1887年（明治20年）、これら二つの学校が統合され、「鹿品（ろくほん）尋常小学校」として新たな一歩を踏み出しました。この時の校舎は、現在地から北西におよそ100メートル離れた場所にありました。その後、1890年（明治23年）には「大江尋常小学校」と再び校名を変更し、学校の名称に「大江」の名が冠されました。現在の学校の敷地へと移転したのは1897年（明治30年）のことです。この移転と時を同じくして、学校のシンボルとなる大エノキが植えられたと伝えられています。

大正時代に入ると、学校施設の拡充が進められます。1914年（大正3年）には、学校敷地の北西部にあった畑が買収され、運動場として整備されました。地域の発展と共に、1921年（大正10年）には熊本市に編入され、学校も熊本市の管轄となりました。昭和時代に入ってからも、校舎の近代化が進められ、1927年（昭和2年）には10教室を備える2階建ての新しい校舎が建設されました。戦時下の教育制度変更に伴い、1941年（昭和16年）には「大江国民学校」と改称されましたが、戦後の学制改革により、1947年（昭和22年）には現在の名称である「熊本市立大江小学校」となりました。

戦後も学校の発展は続き、1954年（昭和29年）には児童数の増加に対応するため、校区の一部が新たに開校した熊本市立託麻原小学校に分離されました。同年には創立80周年を迎え、記念式典や音楽会、祝賀会が盛大に開催され、学校の歴史に新たな一ページが加わるとともに、長年の懸案であった校歌がこの年、制定されました。高度経済成長期には、老朽化した木造校舎から鉄筋コンクリート造りの校舎への建て替えが進められ、1963年（昭和38年）には鉄筋校舎9教室（第1期工事）とプールが完成しました。その後も工事は継続され、1964年（昭和39年）に鉄筋校舎6教室（第2期工事）、1966年（昭和41年）にはさらに6教室が増築（第3期工事）され、施設の充実が図られました。

1974年（昭和49年）には創立100周年の記念すべき年を迎え、記念式典をはじめ、音楽会、展示会、祝賀会といった多彩な行事が実施されました。翌1975年（昭和50年）には、地域のことを学ぶための「大江読本」が刊行されるとともに、100周年を記念した石碑の除幕式が行われました。学校生活に欠かせない体育館は、1979年（昭和54年）に竣工し、落成式が挙行されました。児童数の増加に対応するため、1980年（昭和55年）には鉄筋3階建ての第2校舎が、1983年（昭和58年）には給食室や図書室、特別活動室を備えた第3校舎が完成するなど、校舎の増築・改修が続けられました。また、学校の門も整備され、1983年には北側東門が改修され、1984年（昭和59年）には北側西門に門扉が設置されました。1986年（昭和61年）には、学校の敷地内に子どもたちが親しむことのできる「大江山」が完成しました。

1987年（昭和62年）には、初期に建てられた第1校舎の大規模な改修工事が行われ、屋上、窓、廊下、校内放送設備などが一新されました。翌1988年（昭和63年）には、放課後児童の活動拠点となる児童育成クラブの施設が完成し、開級式が行われました。平成に入ってからも整備は続き、1989年（平成元年）に正門が完成し、学校の顔となる入り口が整えられました。1990年（平成2年）には運動場の改良工事が実施され、子どもたちが安全に活動できる環境が整備されました。教育活動の面では、1991年（平成3年）に郷土教育を実践するための副読本「ふるさと大江」が刊行され、地域学習が推進されました。1995年（平成7年）には、熊本県立劇場で「ハートフルコンサート」を開催するなど、文化活動にも力を入れました。1998年（平成10年）には、特別な支援が必要な児童のための特殊学級「ひまわり学級」が設置され、多様な学びへの対応が進みました。また、同年には「なかね文庫」が設置され、読書環境が充実しました。

2000年代に入っても、教育のIT化に対応するため、2000年（平成12年）にパソコン室の工事とパソコンの設置が行われました。2001年（平成13年）には体育館玄関にスロープが設置され、バリアフリー化が進められました。2002年（平成14年）にはNHKの番組「ようこそ先輩」で授業の様子が紹介されるなど、対外的な活動もありました。同年にはトイレの改修も行われ、学校施設の快適性が向上しました。2003年（平成15年）にはプールの工事が開始され、翌2004年（平成16年）に新しいプールが完成し、落成式が行われました。また、2004年から2年間、NIE（教育に新聞を）実践校に指定され、新聞を活用した教育活動に取り組みました。2005年（平成17年）には正門が新たに完成し、また「新大江読本」が刊行されるなど、教育内容の更新も行われました。

学校のシンボルとして親しまれてきた「おおえの木」（大エノキ）は、2015年（平成27年）8月の台風により幹が折れてしまうという痛ましい出来事がありました。これに伴い、児童や地域住民によるお別れ会が催され、その様子は地元のテレビ局によってニュースとして広く報じられました。

組織・活動

児童の自主的な活動を促進するため、様々な委員会が組織されています。企画委員会、集会委員会、図書委員会、音楽委員会、エコピカ委員会、生活委員会、保健委員会（後に健康委員会と改称）、給食委員会、広報委員会、体育委員会、放送委員会、ハートフル委員会などがあり、それぞれの活動を通じて学校生活の向上に貢献しています。

また、放課後の活動としてクラブ活動が行われています。運動部には総合運動部があり、様々な運動に親しむことができます。文化部としては器楽部があり、音楽を通じた表現活動に取り組んでいます。

服装

熊本市内の多くの小学校では標準服が指定されている中で、大江小学校は比較的珍しく、標準服の指定がありません。児童は私服での登校が認められており、比較的自由な服装で学校生活を送ることができます。

周辺環境

熊本市立大江小学校は、熊本市中央区の文教地区ともいえる地域に位置しており、周辺には多くの教育機関や公共施設が集まっています。近隣には、熊本学園大学、熊本県立熊本高等学校、開新高等学校、慶誠高等学校、九州学院中学校・高等学校といった高等教育機関や中等教育機関が点在しています。文化施設としては熊本県立劇場や熊本市立図書館があり、学習や芸術に触れる機会が豊富です。また、商業施設としてはゆめタウン大江やグランパレッタ熊本があり、生活の利便性も高い地域です。その他、熊本市中央区役所の一部機能やハローワーク熊本、医療機関である大腸肛門病センター高野病院、くまもと森都総合病院なども近くにあり、教育環境だけでなく、日常生活を送る上でも恵まれた立地と言えます。

地といえます。

もう一度検索