熊本県立美術館

熊本県立美術館

熊本県立美術館（Kumamoto Prefectural Museum of Art）は、熊本県熊本市中央区に位置する公の美術館で、文化と芸術の重要な拠点です。美術館は熊本城二の丸公園の敷地内にあり、設計を手掛けたのは著名な建築家、前川國男によるものです。

概要

美術館の本館には多様な展示室が用意されており、その中でも特に注目されるのが「浜田知明室」です。この展示室には、熊本県にゆかりのある版画家、浜田知明のコレクションが常に公開されています。また、歴史的な文化遺産も大切にされており、「装飾古墳室」では県内の装飾古墳の模型が展示されています。美術教育の普及にも力を注いでおり、絵画実技講座や鑑賞会、親子参加型のワークショップなど、様々なイベントが定期的に開催されています。これらの活動を通じて、地域の人々が芸術に触れる機会を増やしています。

本館は、2006年に日本建築家協会25年賞の大賞を受賞し、2017年にはDOCOMOMO JAPANにおいて、日本のモダン・ムーブメントの建築の一つとして選定されています。

分館（Kumamoto Prefectural Museum of Art Chibajo Branch）は、熊本城本丸の東側、千葉城町にあります。旧熊本県立図書館を改築したもので、建物は地上4階、地下1階の構造で、設計はスペインの建築家によって行われました。この分館は、1992年10月20日に開館し、熊本城の石垣との調和にも配慮されています。

所蔵品の紹介

熊本県立美術館の所蔵コレクションは約3,300点に及び、特に西洋美術の分野においては、幼少期を熊本で過ごした画家藤田嗣治（レオナール＝ツグハル・フジタ）を中心に、ルノワールの『胸に花を飾る少女』やロダンの『接吻』などが展示されています。また、日本美術では熊本藩時代における文化を継承した矢野派や狩野派の作品が注目されています。加えて、熊本県ゆかりの陶芸作品や近現代の絵画・彫刻も多く展示されています。

特筆すべきは、東京の永青文庫と協定を結び、新たに『細川コレクション 永青文庫展示室』を設け、定期的に特別展示も行っている点です。この展示室は2008年から利用されており、2012年には常設展示室としてリニューアルされました。さらに、今西菊松によるコレクションもあり、肉筆浮世絵や著名な工芸作家の作品が多数所蔵されています。

施設の構成

美術館の施設は以下のように構成されています：

• - 本館

- 1階：企画展示室、装飾古墳室
- 中2階：ロビー、喫茶店
- 2階：常設展示室、浜田知明室、事務室
- 別棟：細川コレクション 永青文庫展示室

• - 分館

- 1階：入口、フロント・ギャラリー、展示室1
- 2階：展示室2
- 3階：事務室
- 4階：展示室3、喫茶店

交通アクセス

本館へのアクセスは、熊本都市バスや熊本市電を利用できます。熊本城周遊バス「しろめぐりん」の熊本城・二の丸駐車場からは、芝生を横断して約200mの距離です。分館の場合も様々な公共交通機関が利用可能で、最寄りのバス停からは徒歩数分の距離となっています。

熊本県立美術館は、美術品を通じて文化を学び楽しむ場だけでなく、地域社会との結びつきを深めるための場としても非常に重要な役割を果たしています。

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