熊野の長フジ

熊野の長フジ

熊野の長フジは、静岡県磐田市池田の行興寺境内に生育する、国の天然記念物に指定されたフジの老樹です。その名の「熊野」は地名ではなく、能『熊野』の登場人物である熊野御前に由来します。熊野御前は実在した人物で、平安時代末期にこの地で生まれ、平宗盛の寵愛を受けました。

概要

所在地: 静岡県磐田市池田330 行興寺境内
指定: 国の天然記念物（1932年7月25日指定）
樹齢: 推定800～850年
花房の長さ: 最大1.5メートル（過去には2メートルに達したことも）
見頃: 4月中旬～5月上旬

特徴

行興寺のフジは古くから長フジと呼ばれ、その花房の長さが特徴です。境内には、国指定の1株に加え、静岡県指定の老樹5株があり、これらのフジが藤棚全体に広がっています。藤棚の面積は約1,600平方メートルにも及び、見頃の時期には、紫色の花房が棚一面に垂れ下がり、訪れる人々を魅了します。

国の天然記念物に指定されている株は、本堂の北西側に位置し、根元から二つの支幹に分かれています。根回りは約180センチメートルで、樹齢は800年以上と推定されています。また、境内には、静岡県指定の老樹も5株あり、それぞれが異なる姿を見せています。

熊野御前との関係

この地は、能『熊野』に登場する「遠江の国池田」であり、熊野御前の墓所も行興寺にあります。伝承によれば、境内のフジは熊野御前が植えたものとされ、その歴史の深さを物語っています。熊野御前は、親孝行の女性として知られ、母の冥福を祈りお堂を建立したことが行興寺の始まりとされています。

見どころ

長フジの花房: 1メートルを超える花房が藤棚から垂れ下がる様子は圧巻です。
藤棚全体: 約1,600平方メートルの広大な藤棚は、見ごたえがあります。
熊野御前の墓所: 親孝行の女性として知られる熊野御前の墓所を訪れ、その生涯に思いを馳せることができます。

アクセス

鉄道: JR東海道本線豊田町駅下車。藤まつり期間中は臨時シャトルバスが運行。
車: 東名高速道路磐田ICまたは浜松ICから約15分。

まとめ

熊野の長フジは、歴史と美しさを兼ね備えた貴重な文化財です。見頃の時期には、多くの観光客が訪れ、その美しさに魅了されます。ぜひ一度、足を運んでみてください。

補足

境内には、赤藤や白藤など、様々な種類のフジが植えられています。
近隣には、「豊田熊野記念公園」があり、熊野御前に関する資料などが展示されています。
* 藤まつり期間中は、夜間のライトアップも行われ、幻想的な雰囲気を楽しめます。

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