熙宗 (金)

熙宗（きそう）

熙宗は、金の第3代皇帝（在位: 1135年 - 1149年）です。女真名は合剌（ホラ）、漢名は亶（たん）といいます。太祖阿骨打（アクダ）の嫡子である繩果（宗峻）の長男として生まれました。

生涯

熙宗は、太宗呉乞買（ウキマイ）の崩御を受けて即位しました。彼の治世は、金が女真式の部族制国家から脱却し、漢文化を取り入れた中央集権国家へと変貌を遂げる転換期となりました。

内政

熙宗は、皇帝独裁体制の確立を目指し、漢風の官制を導入するなど、王朝の漢化を積極的に推進しました。中央集権化を進め、華北の支配を強化しました。

外交

外交面では、南宋との間で最初の和議を結び、淮水を国境とすることで南北分断が固定化されました。この和議により、南宋は金に対して臣下の礼をとり、歳幣を支払うことが定められ、金が優位な立場を確立しました。

晩年

皇太子と魏王が相次いで亡くなったため、後継者問題が発生しました。皇帝独裁を強化しようとした熙宗は、先帝以来の功臣であった粘没喝（宗翰）をはじめとする女真人の重臣や王族を次々と左遷・粛清しました。また、奢侈にふけり酒に溺れるなど、暴政を行うようになったため、人々の不満が高まりました。

最期

皇統9年（1149年）、熙宗は自身の反対派と共謀した従弟の迪古乃（後の海陵王）によって暗殺されました。寝殿係の大興国が内通し、宮殿に侵入した迪古乃らは、寝室で熙宗を襲撃しました。熙宗は佩刀で応戦しようとしましたが、事前に大興国によって佩刀は移されており、抵抗できませんでした。最終的に、迪古乃によって殺害されました。享年31歳でした。

死後

熙宗は、当初、海陵王によって王として格下げされ葬られました。しかし、後に海陵王を廃して即位した世宗によって名誉が回復され、廟号と諡号が追贈されました。

宗室

妻妾

悼平皇后（裴満氏）
徳妃烏古論氏
（賢妃）
妃張氏
妃裴満氏
妃趙賽月 - 北宋の帝姫
妃趙金姑 - 北宋の帝姫
妃趙玉嬙 - 北宋の皇族の娘
妃趙飛燕 - 北宋の皇族の娘
夫人趙玉盤 - 北宋の帝姫
夫人趙金奴 - 北宋の帝姫
夫人趙串珠 - 北宋の帝姫
夫人趙金印 - 北宋の帝姫
夫人趙檀香 - 北宋の皇族の娘

子女

男子：英悼太子済安（母は悼平皇后）、魏王道済（母は賢妃）
女子：鄭国公主、冀国公主、代国公主、梁国公主、瀋国公主

参考文献

梅村坦「第2部 中央ユーラシアのエネルギー」『世界の歴史7 宋と中央ユーラシア』中央公論新社〈中公文庫〉, 2008年
佐伯富 著「金国の侵入/宋の南渡」、宮崎市定 編『世界の歴史6 宋と元』中央公論社〈中公文庫〉, 1975年

関連項目

* 宋金戦争

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