熱き心に

小林旭の「熱き心に」

「熱き心に」は、小林旭が1985年11月20日にリリースした124枚目のシングルです。この曲はポリドール・レコード（現：ユニバーサルミュージック）から発売され、同年に話題を呼びました。楽曲の作詞は阿久悠、作曲と編曲は大瀧詠一が担当し、ストリングスを用いた協調さが際立つ仕上がりとなっています。

大瀧詠一は小林のファンであり、この曲を彼のために特別に書き下ろしました。また、「熱き心に」は味の素ゼネラルフーヅ（現・味の素AGF）のインスタントコーヒー「マキシム」のCMソングとしても使用され、テレビでの露出が増加することとなります。

小林と大瀧は過去に一緒に音楽制作をする計画を立てていた歴があります。1977年に小林のアルバム制作を巡って大瀧が関与したものの、結局はお蔵入りとなってしまった経歴があるため、この曲は大瀧にとって「一生で何としてでもやり遂げたい仕事」となりました。

この楽曲は、発売後も多くのファンに受け入れられ、オリコンで累計約37.6万枚を売り上げました。1986年の年間チャートでは20位にランクインし、同じく1986年にはTBSテレビの『ザ・ベストテン』でも高評価を得ました。

小林は当初この楽曲にあまり気乗りしなかったものの、スタジオでのストリングスアレンジを聴いて、「西部開拓史」や「ジョン・ウェインを感じるような楽曲」だと認識し自信を持ちました。このように音楽のスタイルがシフトしていく中で小林自身も曲に対する評価を見直していくのです。

また、1985年には小林が『今週のスポットライト』に出演し、3年8か月ぶりにファンの前でパフォーマンスを披露しました。その後も「熱き心に」は愛され続け、1986年には『第37回NHK紅白歌合戦』への出場を果たしました。これにより、視聴者の印象に残る形となり、その後の活動にもつながります。

当曲は、さまざまな音楽賞を受賞し、その人気は高まり続けました。特に1986年の日本レコード大賞では金賞と作詩賞など、多数の受賞歴を誇ります。

興味深いことに、この曲のCMが初めて放送されたとき、歌手名が公表されていなかったため、加山雄三の声に似ているという理由で誤解を招く一幕もありました。小林自身も冗談交じりにそのことを話していましたが、後に正しい情報が発表されました。

「熱き心に」は、リリースから時間が経った後も多くのアーティストによってカバーされ、特に大瀧自身もセルフカバーを行い、2016年には彼のオールタイム・ベストアルバムに収録されました。これにより、新しい世代にも親しまれる楽曲となっています。

シングル盤のジャケットは2種類あり、様々な形でリリースが行われました。数多くのカバー作品や記録も数え切れないほど存在し、「熱き心に」は音楽史に名を刻む名曲となっています。シンプルなメロディと力強い歌詞、そして深い感情を伴ったこの曲は、国民的な愛を受け続けているのです。

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