熱波

熱波とは

熱波（ねっぱ、英: heat wave）とは、特定の地域において平均気温を大幅に上回る高温が継続的に観測される現象です。世界気象機関（WMO）の基準によると、日中の最高気温がその地方の平均的な最高気温を5℃以上上回る状態が5日以上続く場合を熱波と定義しています。ただし、地域によって熱波の定義や特性は異なる可能性があります。

原理

熱波が発生する主な要因は、ブロッキング現象です。夏季にこの現象が起こると、北半球では風が南側に偏り、南半球では北向きに流れ込むことになります。これにより赤道近くからの暖かい風が流れ込み、また高気圧帯が形成されることになります。このような高気圧は長期間にわたり安定した天候をもたらし、中緯度地域に連続して暖かい風が入力されて気温が急上昇します。

その結果、熱波が引き起こされることで、熱中症や熱射病などの健康被害が増加し、最悪の場合は死に至ることもあります。熱波時には通常、晴天が続き、夜間の放射冷却も不十分で気温が下がりにくくなります。そのため、日ごとに気温は上昇し続け、湿度が低下して乾燥状態になることが一般的です。特に、高気圧中心近くでは風が弱くなり、大気中の汚染物質が蓄積しやすく、光化学スモッグによる環境問題も引き起こされます。

ただし、熱波が去った後には、冷たい空気が流入し、高温がもたらした不安定な状態が激しい雷雨や夕立といった荒天を引き起こすことがよくあります。

影響

熱波の影響は大きく分けて高温と少雨、乾燥によるものです。例として、気温が体温すらも越えるほどの状態に達すると、熱中症や脱水症状を引き起こす危険性が増し、多くの人々が健康被害を受けます。また、特に熱帯夜が続くと、建物や都市部のアスファルトなどでの温度がさらに高く、悪影響を及ぼします。

さらに、少雨や乾燥が続くことで、水資源の需要が高まる一方で供給が不足し、上水道の制限や農業灌漑に支障をきたすケースも多く見られます。加えて、乾燥した環境が山火事を引き起こす原因にもなるため、注意が必要です。

近年の事例

過去数十年にわたる熱波の例として、特に深刻な被害をもたらしたケースを挙げてみましょう。

• - 1977年：ギリシャのアテネで、2015年までのヨーロッパ最高気温となる48.0℃を記録。
• - 1980年：アメリカ中南部での熱波では、テキサス州のウィチタフォールズで最高気温47℃。
• - 1995年：シカゴの熱波では739人が死亡し、全米で3000人以上の死者が出ました。
• - 2003年：フランスを中心にヨーロッパ全域での熱波で、52,000人以上が亡くなる悲劇が発生しました。

近年でも、特に2022年7月にはスペインで45℃を超える気温が観測され、山火事や高温による死者が500人以上に上るとの推計もありました。

熱波の頻度や強度は、気候変動とも密接に関係していると考えられ、今後の予測には十分な注意が必要です。

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