熱波 (映画)

映画『熱波』について

『熱波』は、2012年に公開されたポルトガル・ドイツ・ブラジル・フランスのドラマ映画で、監督はミゲル・ゴメスが務めています。この作品は、現代のリスボンを舞台にした「楽園の喪失」と、植民地時代のアフリカを描いた「楽園」の二部から成り立っています。物語は、個人の内面世界と歴史的背景が交差する形で紡がれます。

ストーリーの概要

映画は二つの部に分かれており、第一部「楽園の喪失」では、現代のリスボンに住む孤独な老女アウロラの最期の日々を描いています。隣人の中年女性ピラールの視点から語られ、アウロラの複雑な人物像や彼女に影響を受ける周囲の人々との関係性が浮かび上がります。第二部「楽園」では、50年前の植民地時代のアフリカで展開される、アウロラとジャン＝ルカの情熱的な不倫の物語が描かれます。老年のジャン＝ルカが回想しながら語ることで、彼らの過去の愛とそれに伴う罪が浮かび上がります。

登場人物

• - ピラール（テレーザ・マドルーガ）：信心深い中年女性で、アウロラの隣人。
• - アウロラ（ラウラ・ソヴェラル）：80代の孤独な女性で、周囲を振り回す存在。
• - ジャン＝ルカ・ベントゥーラ（エンリケ・エスピリト・サント）：アウロラの50年前の不倫相手。
• - サンタ（イザベル・カルドーゾ）：アウロラのメイドで、アフリカ系の女性。

第二部では、アウロラの若き姿（アナ・モレイラ）や、遊び人のジャン＝ルカ（カルロト・コッタ）、アウロラの夫（イヴォ・ミューラー）などが登場します。

制作の背景

原題の『Tabu』は、F・W・ムルナウ監督の遺作『タブウ』に由来しています。また、本作はスタンダード・サイズの白黒画面で撮影されており、視覚的な印象を強めています。

評価と受賞歴

この映画は高い評価を得ており、『ロッテン・トマトーズ』によると、高評価の割合は全体の88%とされています。批評家たちは「ミステリアスかつ視覚的に印象的で、実験的な手法で撮影されたロマンティックな作品」と評しています。また、『メタクリティック』でも高評価が14件、賛否混在が3件という結果を残しています。

さらに、第62回ベルリン国際映画祭では、国際批評家連盟賞とアルフレッド・バウアー賞を受賞するなど、その作品性が認められています。

総じて『熱波』は、深いテーマ性と美しい映像で観客を引き込む、印象的な映画となっています。

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