燕型敷設艇

燕型敷設艇

燕型敷設艇とは、日本海軍が運用した敷設艇で、同型艦として「燕」と「鴎」の2隻が存在しました。この艦艇は、日本海軍の近代的な敷設艇の原型として位置付けられています。

計画の背景

第一次世界大戦後の1921年、日本海軍はイギリス海軍の対潜作戦の実績を参考にし、特に防潜網や捕獲網、基準網の導入が必要であると判断しました。これにより、防潜網を敷設するための小型艦艇が求められました。そこで1923年度の新補充計画に基づき、さまざまなタイプの捕獲網艇や急設網艇が建造されることになりました。その結果、燕型敷設艇の元となる1,345トン型急設網艦「白鷹」と2隻の450トン型捕獲網艇が誕生しました。この艦艇は、主に港湾防御の任務を担い、また急設網や機雷の敷設、掃海作業も求められました。

船型と設計

燕型敷設艇は、日本海軍がこれまで保有していた「測天型」敷設艇とは異なり、より洗練されたデザインが施されました。船体は基本的には平甲板型で、船首には短いシェルターデッキが設けられています。さらに船体の中央部は最大幅となるよう設計されており、上に向かって徐々に延びる形状を持っています。この複雑なフォルムは、船体の安定性と捕獲網搭載の便宜を考慮して設計されました。

機関部はボイラー2基、レシプロエンジン2基から成り、作業スペースも考慮されています。武装としては、船橋の前方に設置された8cm高角砲や、後部の機銃などが含まれ、戦時における自衛能力が強化されています。また、捕獲網を収納する網庫や、機雷を運搬するための軌条が設置されている点も特筆されます。

運用と実績

燕型敷設艇は建造当初、捕獲網艇として設計されましたが、1929年には二等敷設艇として完成、さらに1931年には敷設艇に類別されました。その後、1938年からは支那方面艦隊に所属し、九江攻略作戦など多くの任務に従事しました。特に太平洋戦争の初期には掃海作業や航路標識設置などで活躍しました。大戦中には、大幅に兵装が強化され、船団護衛任務に臨むことになりました。

しかし、戦局が厳しくなる中、最終的には1944年11月に両隻とも南西諸島方面で戦没しています。これにより、燕型敷設艇は近代的な設計が施された日本海軍の艦艇の象徴的な存在として記憶されることとなります。

まとめ

燕型敷設艇は、設計段階から実用化に至るまで、日本海軍の敷設艇運用史において重要な役割を果たしました。近代的な設計や多様な運用能力を持つこの艦艇は、日本海軍の艦艇の中でも特徴的な存在です。その運用の歴史や背景を知ることで、当時の海軍の技術的進歩や戦略が見えてきます。

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