爆戦

爆戦（ばくせん）

爆戦とは、零式艦上戦闘機に爆弾を搭載可能にした戦闘爆撃機のことを指します。英語では「戦爆（せんばく）」とも称され、搭載する爆弾の種類によっては250kgや500kgといった重爆弾も扱うことができました。この機体は、特に神風特別攻撃隊の作戦にも利用され、戦局の変化に応じた運用がなされました。

歴史的背景

爆戦は、陸上及び空母部隊において多彩に利用されました。1942年のFS作戦では、敵空母の発着艦能力を削ぐことが目指され、零式艦上戦闘機の長距離進出能力を生かした攻撃が計画されました。1943年には、標的艦を用いた降下爆撃の研究も行われ、降下角度や爆弾の配置による命中率の変動が実験されました。

特に、ソロモン戦線では艦爆隊の戦力が減少していたため、零式艦上戦闘機がその代役として活用されることが増えました。訓練と実践を通じて、爆撃精度や機体性能の向上が求められていました。しかし、戦爆の零戦には空戦能力の低下が懸念され、効果的な運用が難しい状況が続きました。

空母部隊での利用

1944年のマリアナ沖海戦では、戦爆隊が活躍しました。当時、九九艦爆の損失が著しかったため、零戦を艦爆としての役割に充てる必要がありました。爆装された零戦は、250kg爆弾を搭載することができ、その運用法も工夫されました。

特攻の導入

特攻作戦への転用もなされました。1944年10月に大西中将が爆装零戦の使用を指示し、その特設爆弾架が開発されました。この特攻機は500kg爆弾を搭載する能力を持ちましたが、運動能力の低下が問題視され、本来の運用性能への影響を及ぼしました。特攻作戦では、高度や角度に関する厳密な計算が求められ、敵艦への接触時の角度や爆弾の落下位置が重要視されました。

運用と実績

爆戦の運用に関しては、初期に60kgや30kgの爆弾が考慮されていましたが、実際に250kgや500kgの爆弾を搭載するために機体の改修がなされました。中小空母に対しても効果的に使用できる戦力として投入される中で、搭載精度やまあまあの運動能力が求められました。

しかし、実際の戦局では搭乗員の技量や戦闘機の特性を生かせず、特攻作戦では思うような成果を上げられない場面もありました。特に、戦爆隊の損耗が続いたことで、少数の機での行動を余儀なくされ、戦略的な運用は困難を極めました。

結論

爆戦は、零式艦上戦闘機の利点を生かす形で多方面にわたり運用されましたが、運用の制限や改修の必要性といった課題も多く抱えていました。それでも、特攻作戦や艦爆の運用時に期待された爆撃機としての役割は、当時の戦局において重要な位置を占めていたと言えます。

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