爆笑大学 ただ今授業中

爆笑大学 ただ今授業中

『爆笑大学 ただ今授業中』（ばくしょうだいがく ただいまじゅぎょうちゅう）は、昭和42年（1967年）5月7日から翌昭和43年（1968年）1月28日まで、およそ8ヶ月間にわたってTBS系列局で放送されたユニークなクイズ番組です。この番組は、大阪に本拠を置く朝日放送が企画・制作を手がけ、全国ネットで届けられました。放送時間は毎週日曜日、お昼の12時15分から12時45分までの30分間でした。

本番組の大きな特徴は、その企画内容にありました。当時人気を博していた落語家、三遊亭歌奴（後の三代目三遊亭圓歌）の十八番である落語「授業中」の世界観をテレビのバラエティショーとして「立体化」しようという試みから生まれました。単に落語を演じるのではなく、落語が持つユーモラスな設定や登場人物の関係性を、実際のテレビ番組のフォーマットに落とし込んだのです。

番組の舞台は、番組名にも冠されている「大学」の「教室」に見立てられていました。スタジオには大学の講義室を模したセットが組まれ、番組全体がその設定に沿って進行しました。この舞台設定は、番組の内容と密接に結びついていました。

主要な出演者も、この「大学の教室」という設定に合わせて配役されました。番組の中心となる「先生役」を務めたのは、企画の原点となった落語「授業中」の演者である三遊亭歌奴師匠その人でした。歌奴師匠は、落語家ならではの語り口や間の取り方で、番組に独特の雰囲気をもたらしました。そして、「助手役」として宮地晴子さんが出演し、先生役の歌奴師匠をサポートする役割を担いました。

番組のメインコンテンツはクイズでした。大学の教室という舞台設定にふさわしく、解答者は「学生役」として出演しました。彼らは、先生役の歌奴師匠から出される様々な「問題」に対して解答を求められました。具体的にどのような分野から問題が出されていたのか、その難易度や形式については詳細な記録は限られていますが、「授業中」というテーマや、歌奴師匠のキャラクターを活かした内容であったことが推測されます。学生役の解答者たちが、先生からの問いに四苦八苦したり、思わぬ珍解答をしたりする様子が、番組の笑いのポイントの一つだったと考えられます。

このように、『爆笑大学 ただ今授業中』は、人気落語家の持ちネタをテレビ番組の企画として昇華させた、当時としては斬新な試みと言えるでしょう。落語の世界を視覚的に再現しつつ、クイズ番組というインタラクティブな要素を取り入れることで、幅広い視聴者層にアピールしようとした意図がうかがえます。

この番組は、参天製薬の一社提供で放送されていました。特定の企業が単独で番組の提供を行う形式は、当時の日本のテレビ放送において比較的一般的であり、番組の企画から制作、放送に至るまで、スポンサーと制作局が密接に連携して進められたことを示唆しています。

残念ながら、番組は1968年1月で終了し、約8ヶ月という比較的短い放送期間に終わりました。しかし、人気落語家とその落語を基にした番組、ユニークな舞台設定、そしてクイズ形式という要素を組み合わせたこの番組は、昭和中期における日本のテレビバラエティの一つの事例として、その存在を歴史に刻んでいます。

本番組に関する情報は、当時のテレビ番組表や番組を紹介した新聞記事などに記録されており、参考文献として「毎日新聞縮刷版」などが挙げられます。これらの資料を通じて、番組の具体的な放送日や内容の一部を知ることができます。

『爆笑大学 ただ今授業中』は、単なるクイズ番組ではなく、落語とテレビメディアが融合した、実験的ともいえるエンターテインメントであり、そのユニークな企画意図と形式は、今日のテレビ番組制作においても参考になる点があるかもしれません。

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