宮地晴子

宮地晴子は、日本のエンターテインメント界において、女優、声優、そしてタレントという多様な顔を持った人物でした。1933年8月13日、当時の満洲国新京市（現在の中国・長春市）に生を受け、戦後日本の芸能界でそのキャリアを築き上げました。

特にテレビドラマの黎明期からブラウン管に登場し、その活動は1950年代半ばから1970年代前半にかけて及びました。初期の作品としては、1955年のKRT（現TBS）の「日真名氏飛び出す」に出演しています。その後も多岐にわたるジャンルのドラマで存在感を示しました。例えば、1959年のCX（現フジテレビ）「不道徳教育講座」の第1話「弱い者をいじめるべし」、1962年のNET（現テレビ朝日）「JNR公安36号」第3話「トゲのある花」などがあります。1967年には、円谷プロ制作の特撮コメディ「快獣ブースカ」第17話「ブー冠・王冠・とんちんかん」でニール役を演じ、子供たちの記憶にも残るキャラクターを演じました。同時期の時代劇にも多数出演しており、NET系列の「七つの顔の男」、杉良太郎主演の「素浪人 月影兵庫」第2シリーズ第36話「父よあなたは弱かった」、さらに「素浪人 花山大吉」第17話「美人だらけの町だった」にも顔を見せています。同じく1967年には特撮時代劇「忍者ハットリくん+忍者怪獣ジッポウ」第11話「ジッポウはお風呂が嫌いでござる」で社長夫人役を務め、NET系の時代劇「野次馬がいく」第13話「おお!仇討ち」にも出演しました。その他にも、1968年のTBS「フジ三太郎」、1969年のNTV（現日本テレビ）「嫁ゆかば」第9話「愛の手ほどき教えます」、TBS「おむすびコロリン」第8話「三千万円はハシタ金」（夕子役）、NTV「新婚さん旧婚さん」（みさ子役）など、コメディからホームドラマまで幅広く出演しました。1971年にはNET「人形佐七捕物帳」第13話「ほおづき大尽」でお蔦役、そして1973年にはTBSの「ケンちゃん」シリーズの一つである「おもちゃ屋ケンちゃん」で安子役を演じるなど、息の長い活動を見せました。

映画の世界でも、宮地晴子は印象的な役を演じました。そのキャリアは早く、1952年の大映作品「浅草紅団」で既にあい子役として出演しています。1960年代に入ると、コメディ映画を中心に活躍しました。1966年には東宝の「喜劇 駅前番頭」で浩子役、1968年には同じく東宝の「コント55号 世紀の大弱点」でチロルのマダム役、翌1969年の「コント55号 人類の大弱点」では木村秋子役と、当時の人気コメディアン、コント55号主演シリーズにも登場しました。1970年には松竹作品「東京⇔パリ 青春の条件」で皆川悦子役を演じ、また同年のダイニチ映配作品「ハレンチ学園 タックルキッスの巻」では母親役を務めるなど、こちらも多様な作品に出演しました。

声を使った表現にも長けており、テレビアニメや人形劇でもその才能を発揮しました。人気アニメシリーズ「ペネロッピー絶体絶命」では、主人公であるペネロッピー・ピットストップの日本語吹き替えを担当し、チャーミングなキャラクターに声を与えました。また、子供たちに絶大な人気を誇った人形劇「ひょっこりひょうたん島」では、メンメリアスというキャラクターの声を担当しました。

テレビのバラエティ番組にも積極的に出演し、その存在感を示しました。1960年代には、1962年から1965年にかけてCXで放送された「サンデー志ん朝」、1966年のCX「まんがシンチョー」、そして1967年から1968年にかけてTBSと朝日放送で制作された「爆笑大学 ただ今授業中」などに出演し、コメディや情報、教育といった様々なジャンルの番組で親しまれました。

私生活においては、カントリー歌手として知られるジミー時田氏と結婚しました。お二人の婚姻期間は1975年から1981年まででした。

宮地晴子は、女優、声優、タレントとして、テレビ、映画、舞台、アニメ、バラエティと、当時の主要なエンターテインメントメディアのほぼ全てで活動した稀有な存在と言えます。その多才さと幅広い活動は、日本のショービジネスの発展期において重要な役割を果たしました。

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