爆薬発電機

爆薬発電機

爆薬発電機とは、爆薬の爆発エネルギーを効率的に電磁エネルギーに変換し、電気的な負荷に出力する装置のことです。

概要

瞬間的に非常に大きな電力を発生させることに特化しているため、持続的な発電には適していません。主な用途として、高磁場の研究分野で、簡便にkT領域のパルス磁場を発生させる電源として利用されています。

現在、主に研究・開発されている爆薬発電機には、以下の2つのタイプがあります。

MC型 (Magnetic Cumulation: 磁界濃縮型)
MHD型 (Magneto Hydro Dynamics: 磁気流体力学型)

各方式の詳細

MC型 (磁界濃縮型)

MC型は、金属導体で囲まれた閉回路に爆薬（成形炸薬）を作用させ、回路のインダクタンスを急激に減少させることで、内部の磁場を濃縮して発電します。原理としては、爆発によって金属筒を圧縮し、その内部の磁束線を圧縮することで磁場を増幅させます。

最大出力は100MJに達すると言われていますが、構造上、基本的に一度しか使用できない使い捨て型となります。

MHD型 (磁気流体力学型)

MHD型は、爆薬の爆発によってアルゴンガスなどの希ガスを圧縮し、温度10万度、電子密度が10^20個/cm3にも達する高温高密度のプラズマを生成します。このプラズマをMHD発電装置に送り込むことで発電を行います。

1960年代頃までは、爆薬の爆発ガスを直接作動流体として利用していたため、エネルギー変換効率は数%程度と低いものでした。しかし、近年では希ガスをプラズマ化して利用することで、30%近い効率を達成しています。

MC型と比較すると最大出力では劣りますが、比較的持続時間が長く、装置を複数回使用できるという利点があります。

用途

爆薬発電機は、その大出力という特徴から、主に軍事用途での応用が期待されています。例えば、レールガン、電磁パルスを放射する電磁波爆弾、レーザーなどの指向性エネルギー兵器の電源としての利用が想定されています。また、災害救助などの緊急時における電源としての活用も考えられます。

構造と原理上、寿命が短いという欠点があるため、発電装置ごと短期間で交換するような運用方法が想定されます。

脚注

コフマン・エンジンスターター：爆薬の爆発力を利用したエンジンスターターの一種。

参考文献

藤原, 修三「爆薬発電機'>[爆薬]]による発電]」『電氣學會雜誌』第106巻第2号、1986年、145-149頁、doi:10.11526/ieejjournal1888.106.145、[[ISSN 0020-2878。

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