爆走トラッカー軍団

爆走トラッカー軍団：平成版トラック野郎、デコトラの魅力と社会問題を描く痛快アクション

『爆走トラッカー軍団』は、1992年から1994年にかけて公開された、アートトラック（デコトラ）を題材にした日本映画およびオリジナルビデオ作品です。劇場版2作品を含め、全6作品が制作されました。

70年代を席巻した『トラック野郎』へのオマージュと、新たな試み

本作は、菅原文太と愛川欽也のコンビで人気を博した東映映画『トラック野郎』を彷彿とさせる作品であり、一種のオマージュとなっています。しかしながら、単なる焼き直しではなく、新たな試みが数多く盛り込まれています。

主人公は、元キャロルのギタリスト、ジョニー大倉が演じる、情に厚く涙もろいアートトラッカー、藤崎竜一。彼は、数々の騒動に巻き込まれながらも、持ち前の正義感と人情で難局を乗り越えていきます。

監督は、東映特撮作品で知られる長石多可男、脚本は『トラック野郎』シリーズを手掛けた掛札昌裕が担当。監督の長石多可男は仮面ライダーシリーズや戦隊シリーズを手がけた実績があり、脚本の掛札昌裕は「トラック野郎」シリーズ第6作から第9作の脚本を担当していた実力者です。この豪華なスタッフ陣によって、作品は高いクオリティに仕上がっています。

昭和の濃厚な雰囲気とは一線を画す、スタイリッシュな世界観

『トラック野郎』が、派手なカーアクションや激しい喧嘩シーン、下ネタなどで知られていたのに対し、『爆走トラッカー軍団』は、バブル崩壊後の社会情勢を反映し、より洗練された雰囲気を持っています。ファッショナブルな感覚を取り入れ、クールでスマートな印象を与えている点が大きな特徴です。

一方で、Vシネマ特有の暴走族や暴力団との抗争といった要素も取り入れられており、従来のデコトラ映画にはない、新たな魅力が加えられています。

デコトラとトラッカーへの誤解を解き、社会問題にも正面から向き合う

本作では、単にデコトラを「色物」として扱うのではなく、デコトラそのものや、トラッカーたちの現実の姿を丁寧に描いています。これにより、世間一般に広まっているトラッカーへの誤解を解き、彼らの真の姿を伝えようとする意図が感じられます。

さらに、当時の交通法規改正や労働基準法による交通事故問題にも焦点を当て、単なる娯楽映画にとどまらない、社会的なメッセージも発信しています。

リアルなアートトラックが多数登場

本作に登場するトラックは、映画のために製作されたオリジナル車両ではなく、哥麿会と関口工芸の全面協力のもと、全国から集められた本物のアートトラックです。70年代の第1次ブームから80年代後半の第2次ブームを象徴する車両が多数登場し、作品にリアリティを与えています。

個性豊かなキャラクターたち

主人公の竜一をはじめ、個性豊かなキャラクターたちが物語を彩ります。竜一を支える仲間たち、彼らと対立するライバルたち、そしてヒロインたち。それぞれのキャラクターが持つ背景や人間関係が丁寧に描かれ、作品に深みを与えています。

多彩な車両が登場し、作品の世界観をさらに豊かに

主人公の愛車である「竜神丸」をはじめ、個性豊かなアートトラックが多数登場します。それぞれのトラックのデザインや仕様、そしてそのトラックを運転するドライバーたちの個性も魅力の一つです。

まとめ

『爆走トラッカー軍団』は、単なる娯楽映画にとどまらず、デコトラの魅力、トラッカーたちの生き様、そして社会問題といった様々な要素が複雑に絡み合った、奥深い作品です。70年代の『トラック野郎』を彷彿とさせる雰囲気と、平成時代の新たな感覚が融合した、唯一無二の作品と言えるでしょう。

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